被ばく医療の人材育成で弘大と県連携『陸奥新報』2010年10月6日付

『陸奥新報』2010年10月6日付

被ばく医療の人材育成で弘大と県連携
 

 緊急被ばく医療の専門家を育てる「被ばく医療プロフェッショナル育成計画」事業の人材育成コースが25日、スタートする。国の事業採択を受けて弘前大学と県が連携して取り組むもので、初年度は医療、教育、行政機関の関係者ら9人が参加し、3年間にわたって専門知識を学ぶ。修了者は地域の被ばく医療に関するリーダーとして活躍することが期待されており、原子力施設が立地する本県で、同事業を生かしながら緊急被ばく医療体制の充実を図る狙いだ。

 5日、弘大大学院医学研究科長の佐藤敬管理運営委員長、同保健学研究科教授の柏倉幾郎同副委員長、県健康福祉部医療薬務課の佐々木久美子主幹らが会見し、発表した。

 事業は今年度文部科学省科学技術振興調整費「地域再生人材創出拠点の形成プログラム」に採択され、初年度予算は4160万円。事業期間は今年度から5カ年で、期間中の受講料は無料になる。

 弘大では、2008年度から緊急被ばく医療の人材育成や体制整備に着手。

 今年7月には緊急被ばく医療も担う高度救命救急センターが稼働した。

 こうした中で、教育研究や医療の現場における、被ばく医療に対応できる人材育成が課題となっている。

 25日に開講するコースは、染色体線量評価学などを学ぶ「科学コース」と、緊急被ばく医学総論などを学ぶ「医科学コース」の2コース。受講期間は3年間。

 弘大教員や外部講師らによる講義や実習をこなすほか、緊急被ばく医療に関する国内外の専門家によるセミナー、専門教育機関の海外研修に参加する。

 受講者は(1)博士後期課程在籍者(2)弘大医学研究科、保健学研究科博士課程の受験資格を有する人(3)正規雇用の社会人(受講することで職務上特に必要性が高いと認められる場合)―が対象となり、書類審査と面接で選抜する。

 今年度は救急救命士や弘大教員、県職員、弘大医学部附属病院高度救命救急センター所属看護師ら9人が受講する。佐藤委員長は「緊急時に正しい知識をもって対応できるプロを育てることが重要」とし「地域住民の安心のための事業。当面は県内の緊急被ばく医療の人材育成を進めたい」と話した。

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