法科大学院、二極化恐れ 司法試験の合格者、都心や国立に集中『中日新聞』2010年9月14日付

『中日新聞』2010年9月14日付

法科大学院、二極化恐れ 司法試験の合格者、都心や国立に集中
 

 合格率が過去最低の25%となった今年の新司法試験。都心の有力大や国立大の大学院の修了者が合格する傾向が顕著となり、国の方針変更の逆風もあって中部地方の大学院は危機感を募らせる。

 合格者が昨年より1人減の3人にとどまった愛知学院大。芹田健太郎法務研究科長は「地方の中小規模の大学院は苦しい」と嘆く。

 同大学院は、大学で法学を専攻していない学生や社会人出身者らが中心。幅広い人材を法曹界に送り出す法科大学院の理念に沿っているが、合格率で劣るのが現状だ。実績の低い大学院への交付金を減らす文部科学省の考えに、芹田科長は「合格者がますます一部大学に集中し、地域の人材を育てる理念から離れていく」と訴える。

 大学院の再編・統合を求める声も政府などから上がっているが、南山大の榊原秀訓法務研究科法務専攻・専攻主任は「私大同士の統合は現実的に難しい。実際は廃止しろと言っているようなもの」と指摘する。

 法科大学院への受験者数は年々減少しており「このままでは優秀な人材が集まらなくなる恐れがある」と制度の見直しを求める。

 合格率で13位と健闘した愛知大。大林文敏法務研究科長は「上位でも油断できない。大学院間の二極化が固定化し、地方の小規模大学院は淘汰(とうた)される方向にある」と気を引き締める。

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