子どもの発育へ環境汚染の影響探る 東北大が宮城県と協定締結『河北新報』2010年9月1日付

『河北新報』2010年9月1日付

子どもの発育へ環境汚染の影響探る 東北大が宮城県と協定締結 

 東北大大学院医学系研究科は本年度、宮城県内4医療圏の母子を対象に、環境汚染が子どもの発育に与える影響を探る大規模調査を始める。実施に向けて31日、県や関係自治体と協力協定を結んだ。

 調査は大崎市、気仙沼市、石巻市、岩沼市など14市町で行う。対象は来年7月1日から2013年12月末までに出産予定の妊婦。来年1月から、医療機関や自治体を通じて9000人に協力を呼び掛ける。

 胎児期から13年間、子どもの発達状況を調査する。参加者は妊娠中から出産後にかけて、血液やさい帯血、母乳などの採取を受ける。生後1カ月から12歳まで、定期的に子どもの健康診断や食習慣・生活環境に関する面談も実施。疾患が見つかった場合は、早期に専門医に紹介する。

 東北大などによると近年、自閉症やアスペルガー症候群などの精神神経発達障害や、先天異常のある子どもが増えているという。原因として、ダイオキシンなどの汚染物質や農薬、住宅建材に含まれるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)の影響が指摘されている。関連を分析し、新たな治療や環境対策に結び付けるのが調査の狙い。

 31日行われた調印式で、井上明久総長は「子どもを取り巻く環境の検証を進めたい」とあいさつ。村井嘉浩知事は「調査に全面的に協力し、成果を今後の環境基準やリスク管理体制につなげたい」と述べた。

 環境省が全国の大学で計10万人を対象に行う調査の一環。東北では、福島県立医大も福島県内10市町村6900人を対象に調査を行う。

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