公約施策を大幅縮小=特別枠、形骸化の懸念―来年度予算の概算要求 時事通信配信記事 2010年08月26日

時事通信配信記事 2010年08月26日

公約施策を大幅縮小=特別枠、形骸化の懸念―来年度予算の概算要求

各省庁が月末までに財務省に提出する2011年度予算の概算要求の内容が26日、ほぼ固まった。深刻な財源難により、子ども手当など昨年夏の衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた主要施策の事業規模縮小を迫られた省庁が続出。また、成長分野などに重点配分する1兆円超の「特別枠」をめぐっては、歳出削減の「抜け道」として既存の予算を付け替える動きもある。政権が目指す「予算の大胆な組み替え」が形骸(けいがい)化する懸念が強まっている。

一方、衆院選公約の変更には民主党代表選への出馬表明をした小沢一郎前幹事長が強く反対している。代表選の結果次第では、提出した概算要求が事実上白紙化する可能性も出ている。

公約施策のうち、11年度に目指す子ども手当の満額支給(月額2万6000円)について、厚生労働省は上積み分の予算額を示さない「事項要求」にとどめた。満額支給に必要な2.7兆円を既存予算の組み替えで確保できなかったためだ。地方負担分の在り方を含めて年末の予算編成に問題を先送りした形で、どこまで支給額を上積みできるかは不透明な状況となっている。

さらに同省は、職業訓練中の求職者に月額10万円を支給する支援制度も事項要求とした。公約で示した財源0.8兆円のめどは付いていない。

国土交通省は高速道路の原則無料化を事実上断念。完全実施する12年度には1.3兆円が必要だが、11年度は10年度予算比500億円増の1500億円にとどめた。農林水産省も11年度に事業規模1兆円を見込んでいた農家の戸別所得補償を7900億円に絞り込んだ。

政府が7月に決定した概算要求基準では、歳出の一律1割削減を求め、その代わりに1兆円超の「特別枠」を設定。各省庁は特別枠の獲得に力を入れている。厚労省は世間の関心が高まっている子宮頸(けい)がんのワクチン接種に対する公費助成(150億円)を要求。文部科学省は公立小中学校の少人数学級化の予算を特別枠として要求する。

ただ、防衛省は在日米軍駐留経費(思いやり予算)の日本側負担の大部分を特別枠で要求。同枠では農水省も10年度予算で6割削減した土地改良事業の増額を狙っている。成長や雇用拡大に充てるのが本来の趣旨だが、特別枠が既存予算の「看板の掛け替え」(財務省幹部)に終わる恐れが出ている。(了)

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