国家公務員給与:政府内、追加削減論 「人勧通り」要求も根強く『毎日新聞』 2010年8月11日付

『毎日新聞』 2010年8月11日付

国家公務員給与:政府内、追加削減論 「人勧通り」要求も根強く

国家公務員の年間給与1・5%減を求めた10日の人事院勧告(人勧)に対し、政府・民主党内では勧告を上回る追加削減を模索する動きが始まっている。民主党の衆院選マニフェストの「公務員の総人件費2割削減」の達成を急ぐには、人勧の水準に合わせた給与削減では足りないためだ。

ただ、労組系議員を中心に人勧通りの実施を求める声も根強い。9月の党代表選前の決着は困難で、菅直人首相が再選されても難しい判断を迫られる。

人勧は国家公務員一般職の10年度給与について、月給を0・19%、期末・勤勉手当(ボーナス)を0・2カ月分引き下げる内容。平均年間給与は勧告前より9万4000円減(1・5%減)の633万9000円になる。

「現下の経済社会情勢、国の財政状況を踏まえれば、国民の理解を得るためにも厳しい姿勢で臨むべきだ」

10日に首相官邸で開かれた「給与関係閣僚会議」で玄葉光一郎公務員制度改革担当相(党政調会長兼務)は勧告以上の給与削減を求めた。原口一博総務相らが「公務員の労働基本権が制約されている現状では勧告を尊重すべきだ」と反論し、意見は割れた。

基本権を付与して労使交渉を行えるようにすれば人勧制度は不要となるが、必要な法改正は進んでいない。総人件費の2割は1・1兆円に相当するが、今回の勧告を実施した場合の削減幅は約790億円で、このペースではマニフェストの期限の13年でも達成は難しい。世論受けと政権浮揚を狙って給与削減を強行すれば、反発した職員による訴訟に発展する可能性もある。

5日の党公務員制度改革プロジェクトチームの会合では、労組系議員から「追加削減は容認できない」との大合唱があがり、6日夜に内閣府に集まった玄葉氏や仙谷由人官房長官らは「短絡的に、先走ったことは言わないように」と確認し合ったという。

政策調整にあたる仙谷氏自身は行政刷新担当相だった昨秋、連合の古賀伸明会長に「追加削減」を示唆したが、10日の記者会見では「(追加削減は)あり得ると思うが、結果を見通すのは難しい」と慎重だった。原口氏は10日の会見で「ろくでもない経営者に限って給料をいじる」と追加削減論を皮肉った。【小山由宇、笈田直樹】

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