2011 年度概算要求期に向けた要望書― マイナス8%シーリング問題に関連して ―2010 年7 月16 日全国大学高専教職員組合中央執行委員長 中嶋 哲彦

2010 年7 月16 日

文部科学大臣
川端 達夫 様

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 中嶋 哲彦

2011 年度概算要求期に向けた要望書
― マイナス8%シーリング問題に関連して ―

政府はさる6月22日の閣議で「財政運営戦略」を決定しました。この閣議決定は、税源確保ルール、財政赤字縮減ルールなどの「財政運営の基本ルール」を定めるとともに、平成23年度から3ヶ年を対象とする「中期財政フレーム」を定めるものです。政府はこれにより「『強い経済』、『強い財政』、『強い社会保障』の一体的な実現」を目指すとしています。そして、この目標を達成するために、平成23年度から3ヶ年の基礎的財政収支対象経費(一般会計歳出から国債費及び決算不足補てん繰戻しを除いたもの)について、71兆円(平成22年度の額)を上回らないよう、恒久的な歳出削減を行うことにより歳出をできる限り抑制するとしています。

報道等によれば、平成23年度の政策的経費(基礎的財政収支対象経費のうち社会保障費の自然増、地方交付税交付金、人件費等を除く)は約12兆円となり、平成22年度と比較して約マイナス8%となるとされています。

これがそのまま国立大学等の運営費交付金に適用されれば、平成23年度から3年間で多大な削減が行われることになります。

第1 期中期目標期間では運営費交付金は毎年約1%の削減が行われ、国立大学等の教育、研究、医療は深刻な影響を受けています。仮に「8%削減」ということになれば、平成23 年度だけで第1 期中期目標期間総削減額を上回る削減となり、国立大学等は壊滅的打撃を受けることになります。同様な問題は、私学助成、公立大学でも起きる可能性があり、日本の大学・高等教育総体に重大な影響を及ぼすものです。このことは、人材養成、経済、産業、医療、学術・文化、環境分野など大学が地域・社会に果たしてきた役割を断ち切り、日本の総合的国際競争力を大きく損ねるものです。

この間も各界から指摘されているように、高等教育に対する公的支出はGDP 比率でOECD 加盟国中最下位の0,5%に留まっており、その増額こそ必要です。こうした状況をふまえ、2011 年度概算要求期に向けて、貴職に対して下記の要望をおこなうものです。

                                                   記

1, 国立大学・高専・大学共同利用機関法人への運営費交付金のこれ以上の削減を中止し、基礎基盤的経費を増額すること。また、公立大学の基礎基盤的経費の充実をはかること。

2, 大学・高専の学費を引き下げること。また、奨学金に返済を必要としない給付制を導入するなど奨学金制度等の充実を図ること。

3, 国・公・私立総体の大学・高等教育充実・発展をはかるため、高等教育に対する公的支出について、当面年次計画によりGDP 比率でOECD 加盟国平均の1%を実現すること。

http://www.zendaikyo.or.jp/katudou/youbou/09/10-7-20youbousyo.pdf

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