女性研究者さらに支援 岩手大が取り組み強化『岩手日報』2010年7月20日付

『岩手日報』2010年7月20日付

女性研究者さらに支援 岩手大が取り組み強化

岩手大(藤井克己学長)は、女性研究者支援の取り組みを強化する。本年度、文部科学省の「女性研究者支援モデル育成事業」に採択。学内に託児スペースを整備したり、配偶者と別居している女性教員への手当や理系女子学生に対する奨学制度拡充の検討も進める。学内の啓発も行いながら、2012年度までに現在9・4%の女性教員の比率を11%台まで引き上げ、国立大学平均の12・1%に近づける考えだ。

同大の全教員417人のうち、女性はわずか39人(4月現在)。女子学生の数は全学生6010人中2253人(同)で37・5%に上るが、理系の博士課程に進学する割合が少ないことや子育てと家庭の両立が難しいことなどから女性教員が少ない。

同大は09年7月に藤井学長が男女共同参画推進宣言を発表。本年度は文科省の「女性研究者支援モデル育成事業」に応募、全国の9大学とともに採択された。事業は▽子育て中の研究者の両立支援▽女性研究者のすそ野拡大・育成▽意識改革―の3本柱。

両立支援策として、女性教員らが保育所に預けられない時間に仕事をするときに、ベビーシッターらに頼んで子どもを預けられる託児スペースを整備する。学生センター棟2階の会議室を改装し秋以降に完成する予定。

地方大学の場合、研究者同士の夫婦の一方が単身赴任している割合が高い。そのため、配偶者と別居している女性教員を対象とした「両住まい手当」も創設。公務員の単身赴任手当の額をベースに、1人月額3万円程度を想定し、来年度の実施を目指す。

理系の博士課程に進む女子学生が少ないことから女子学生への奨学制度拡充に向けた仕組みを検討。農学部や工学部の女子大学院生が中学、高校に出向き、魅力を語る出前授業も実施する。

このほか▽女性研究者への研究支援員配置▽地域と連携した学童保育支援▽介護休暇、休業の取得支援―などにも取り組む予定。

こうした支援策に対し、学内からは「なぜ女性だけを優遇するのか」といった異論の声もあるといい、シンポジウムなどで意識改革も同時に行い、理解を求めていく。

男女共同参画担当の菅原悦子副学長は「女性研究者が働きやすい環境を整えることは、教職員全体が働きやすい職場づくりにもつながる。学内や地域の理解を得られるよう啓発していきたい」としている。

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