予算編成、歳出削減は難航 財務相らが概算要求基準骨子『朝日新聞』2010年7月20日付

『朝日新聞』2010年7月20日付

予算編成、歳出削減は難航 財務相らが概算要求基準骨子

2011年度予算編成の概算要求基準(シーリング)について、野田佳彦財務相らは20日の閣議後の閣僚懇談会で、要求基準の「骨子」を示した。6月にまとめた「中期財政フレーム」を踏まえ、国債の元利払いを除いた歳出額を今年度(約71兆円)以下に抑える方針。高齢化による社会保障費の自然増分などを賄うため、既存予算の大胆な削減を各閣僚に求める。

11年度予算は、高齢化に伴って医療費や年金給付などの社会保障費が、今年度より約1.3兆円増加する見通しだ。菅政権はこの増加分については容認する方針だ。

また、6月にまとめた新成長戦略にそって、公的な支援で需要の拡大や雇用の増加が期待できる医療、介護、環境、観光などの成長分野については、優先的に予算を配分する「特別枠」を設ける方向で調整している。

だが、こうした増加分を賄うための歳出削減の調整は難航している。政権内には、公共事業費や防衛費などの政策的経費を、要求段階で今年度より1割程度、削減する案も浮上。一方、今年度で所管分の公共事業費を2割近く削減した前原誠司国土交通相らが、こうした方針に反対しており、調整が続いている。

菅直人首相は、野田財務相、仙谷由人官房長官、民主党の玄葉光一郎政調会長(公務員制度改革相)に対し、20日にシーリングの骨子を示すよう指示。与党との調整を経て、月内にも決める方針だが、参院選で大敗した後だけに、地方への配慮などを求める歳出圧力が強まる可能性もある。

菅政権は6月に中長期的な財政再建の方針を示した「財政運営戦略」を閣議決定。そのなかで、11~13年度の予算編成の基本方針を、「中期財政フレーム」としてまとめた。(高田寛)

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