平成22年7月16日
平成23年度概算要求基準(シーリング)による「国立大学法人運営費交付金」の削減に反対!!
(共同声明)
社団法人国立大学協会北海道地区支部
北海道大学総長 佐伯浩
北海道教育大学長 本間謙二
室蘭工業大学長 佐藤一彦
小樽商科大学長 山本眞樹夫
帯広畜産大学長 長澤秀行
旭川医科大学長 吉田晃敏
北見工業大学長 鮎田耕一
我々、社団法人国立大学協会北海道地区支部所属の7国立大学は、「新成長戦略」に位置付けられた国家戦略を実施していくためには、国立大学が大きな原動力となっていくことにかんがみ、別紙のとおり、平成23年度概算要求基準(シーリング)において「国立大学法人運営費交付金」を削減の対象外とすることを強く要望します。
○国立大学の果たしてきた役割
国立大学は、公的資金を投入し、国民の教育機会の保障、将来を担う人材の育成、先端的・基礎的研究の推進、産業基盤の確立、地域社会への貢献など、我が国発展のために重要な役割を果たしてきました。
○「新成長戦略」の原動力は「強い大学」
菅内閣の下で策定された「財政運営戦略」と「新成長戦略」が目指す「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」は、我が国が置かれている経済・財政の危機的状況に照らし、当然実現されるべきものです。同時に、「新成長戦略」は、「強い人材」の育成が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力を世界最高水準にするための効果的な公的投資を拡充する旨、明記しています。
国立大学は、「持続可能な成長を担う若年層や知的創造性(知恵)(ソフトパワー)の育成」(「新成長戦略」より)の欠くべからざる土台であり、我が国全体に係わる新しい未来を切り拓く存在でなければなりません。「強い大学」の実現を目指し、国立大学の教育研究環境の整備や学生への経済的支援の充実を図ることが、日本の輝かしい未来を切り拓くものと確信します。
○平成23年度概算要求基準に関する動向
一方、「財政運営戦略」の「中期財政フレーム」によれば、平成23年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこととし、できる限り抑制に努めることとされています。これを受けて、仮に、巷間1兆円以上とも言われる社会保障関係経費の伸びを勘案すれば、いわゆる「政策的経費」は年率8%の減となります。教員等の人件費を含む大学運営の基盤的経費である「国立大学法人運営費交付金」もその対象とされれば、削減額は、初年度だけでも927億円(3年目で約2,800億円)と、平成16年度から6年目の22年度の減額830億円を上回り、また、北海道7国立大学の平成22年度運営費交付金総額603億円をも大きく上回るという、すさまじい削減を求められることが予想されます。
○予算が削減された場合の影響
現在の厳しい財政状況については、国立大学においても認識しているところであり、これまで人件費削減をはじめ、ぎりぎりの努力をしておりますが、これ以上の削減は限界です。年率8%の減を北海道7国立大学に当てはめて試算すると、削減額は、初年度で48億円、3年目で144億円となります。この金額の予算削減は、総合大学である北海道大学の存立基盤を揺るがすのみならず、道内単科大学の運営が立ち行かなくなる規模であり、北海道における高等教育の機会均等の確保、人材の育成、産業の振興、高度先進医療の提供など、国立大学の使命を果たすことが不可能となります。
我が国の高等教育への公財政支出は既にOECD諸国の最下位という状況です。その上、このような更なる過酷な削減を行うことは、我が国の成長の原動力である国立大学の存立を危うくするものであり、天然資源に乏しく、科学・技術と人材に頼るしかない我が国においては、まさに国の将来を危うくする致命的な施策となります。
○政府に対する要望
ついては、平成23年度概算要求基準において、「国立大学法人運営費交付金」については、削減の対象外とし、「新成長戦略」に基づき、長期的な観点から予算配分が行われることや、高等教育への公的資金の投入について国民の皆様のご理解ご支援をいただき、来年度概算要求にあたっても高等教育予算確保について強く要望します。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/100716_seimei/seimei.pdf