山形大、ナスカに研究拠点 ペルー「地上絵」を調査『山形新聞』2010年07月16日付

『山形新聞』2010年07月16日付

山形大、ナスカに研究拠点 ペルー「地上絵」を調査

南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」に関する研究プロジェクトを進めている山形大は2010年度、現地に初の研究拠点を設ける。土地を購入し、分析・実験室、遺物試料保管室などを建設する計画。遺物分析など現地調査のめの環境を充実させていく。

ナスカの地上絵調査に取り組んでいるのは坂井正人人文学部教授(文化人類学)の研究チーム。同大には、有機EL、核子スピンなどに続き、国際的に通用する研究成果を挙げる可能性がある研究チームを支援する「YU-COE(E)(山形大先端的研究拠点)」制度があり、この研究がその一つに選ばれた。10年度の支援額は500万円。地上絵があるナスカ台地の南に位置するナスカ市街地に土地を購入し、年内に着工する。支援は4年間の予定で13年度までに宿舎、研究資料室などを増築していく計画だ。

研究チームは坂井教授のほか、心理学、情報科学、地理学などの教授らで構成。地上絵が描かれた目的の解明と保護に向け、04年度から人工衛星画像を活用した詳細な分布図の作成を進めてきた。その過程で100点以上の新たな地上絵を発見し、国内外から注目を集めた。09年度からは、地上絵が人々にとってどのような意味を持っていたのかを調べようと、周辺に分布する考古学遺物の調査を始めている。

今後はナスカ周辺の遺跡の発掘調査にも取り組む予定。地上絵が描かれたとされるナスカ期周辺の気候変動や人々の生活実態を明らかにすることで、地上絵が描かれた目的に迫ろうという狙いだ。遺物の分析はすべて現地で行わなければならないため、スムーズに研究を進めるためにも現地拠点が必要となっていた。坂井教授は「(研究拠点が完成すれば)腰を据え、より現地に根差した研究活動ができるようになる」としている。

ナスカの地上絵は、ペルー南部のナスカ台地に描かれた幾何学模様や動植物などの巨大な地上絵群。ナスカ期(紀元前100年ごろ~紀元700年ごろ)に描かれたとされる。これまでに1000点以上が確認されている。目的はまだ解明されていないが、豊穣(ほうじょう)祈願のために制作されたという説が最も有力。文化遺産として1994年に世界遺産登録された。

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