『河北新報』2010年6月29日付
東北大医学系研究科と癌研が協定 人材育成へ講座
東北大大学院医学系研究科と財団法人癌(がん)研究会癌研究所(東京)は28日、がん研究にかかわる人材を協力して育成するため、連携講座に関する協定を結んだ。癌研究所の研究員が客員教授となり、同研究科の大学院生を指導する。
両者は4月、治療が難しいがんを克服するための先端的な研究をする「がん生命科学講座」を開設した。癌研究所の野田哲生所長と今村健志生化学部長が客員教授となり、それぞれがん分子標的探索分野とがん細胞イメージング分野を担当する。
講座には既に大学院生1人が所属し、研究に取り組んでいる。今後、分野ごとに少なくとも毎年1人の大学院生を受け入れる考え。
国内のがん研究は基礎研究と臨床研究、治療薬開発の連携が少なく、「知識と臨床をつなげる流れが薄かった」(野田所長)という。協定によって各分野に精通した研究者の育成が期待される。
東北大であった締結式で山本雅之医学系研究科長は「研究が一層充実する。がんに苦しむ人を減らしたい」と述べた。野田所長は「基礎研究に定評がある東北大と連携できることをうれしく思う」と話した。