和漢薬の拠点 拡充 富大の民族薬物資料館 生薬標本2万7000点保管 増築 広さ2倍に『中日新聞』2010年6月16日付

『中日新聞』2010年6月16日付

和漢薬の拠点 拡充 富大の民族薬物資料館 生薬標本2万7000点保管
増築 広さ2倍に

国立大学で唯一の医薬系研究所である富山大和漢医薬学総合研究所(富山市)の民族薬物資料館が十五日、増築され二倍の広さになった。同研究所は昨年、国の重要拠点にもなっており、資料館の拡充とともに、「くすりの富山」を担う漢方薬の研究体制の強化が期待される。 

従来の資料館の隣に約二億円で増築された建物は鉄筋三階建て、延べ床面積は約四百平方メートル。二階が展示室で、日本や中国、インドなどの生薬標本が約二万七千点、書物約二百冊がある。中国・内モンゴルの砂漠で乱獲され、黄砂を引き起こす原因とされる甘草(かんぞう)や麻黄(まおう)などの生薬もある。

資料館は、一九七三(昭和四十八)年に旧富山大薬学部の付属の生薬保管施設として創設された。資料館になったのは八五年。しかし一般研究室と一体だったため、研究者から「資料を使った研究のスペースを広くしてほしい」との声があった。資料の保管体制を整え、学術価値を高めるために施設の整備に踏み切った。

同研究所は昨年、文部科学省から「共同利用・共同研究拠点」に認定された。本年度からは複数の学外研究者との共同研究も本格化。門田重利所長は「和漢薬の基盤を形成する拠点として、研究に取り組む」としている。

十五日に開かれた記念式典で、西頭徳三(さいとうとくそう)学長は「宝の持ち腐れではもったいない」と語り、これまで年一回としてきた資料館の一般公開を、年に数回実施する意向を明らかにした。まずは今月末から一週間、公開する。(永井響太)

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