科学技術白書:基礎研究力に警鐘「多様性を損失」『毎日新聞』2010年6月15日付

『毎日新聞』2010年6月15日付

科学技術白書:基礎研究力に警鐘「多様性を損失」

政府は15日の閣議で09年度の科学技術白書を決定した。日本の科学技術の競争力低下を憂慮し、特に基礎科学力の現状に強い危機感を表した。

白書では、この10年間に成果が出やすい、流行を追った研究に偏り、長期間かかる研究や新しい領域を生み出す挑戦的な研究など、「基礎研究の多様性」が損なわれたと指摘。基礎研究を支える研究費の政府負担比率は18%(08年度)と、仏39%や米27%、中韓25%より少なく、高等教育機関への財政支出(対国内総生産比)でも「経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位」と強調した。

また、政権交代後に行われた昨年秋の事業仕分けで、費用対効果や産業応用などの観点から、次世代スーパーコンピューター計画の見直しなどを迫られ、学術界から強い反発があったことも紹介。効率化や国民への十分な説明を条件に継続とされた経過を詳しく説明した。【山田大輔】

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