キタ“駅近大学”続々…サテライトキャンパス、就活や講座の拠点に 『読売新聞』2010年4月14日付

『読売新聞』2010年4月14日付

キタ“駅近大学”続々…サテライトキャンパス、就活や講座の拠点に

関西の大学を中心にしたサテライトキャンパスが、大阪・キタに集まってきている。近畿各地への交通網の要で、公開講座や、就職活動に便利な上、相次ぐ大型開発による都心の集客力アップで、「大学の看板」としてPRできる拠点になると各大学は期待する。

2010年秋に開業予定の「大阪富国生命ビル」(大阪市北区)には、立命館大の大阪キャンパス、大阪大工学研究科の産学連携拠点、京都造形芸術大の通信教育施設などが入る。

立命館大は、就活支援や社会人大学院、公開講座などを行う。1997年に淀屋橋に開設した現オフィスから、直線で約1キロ北への移転。中山雅博・副所長は「わずかな立地の差だが利便性の差は大きい。近畿全域から様々な層の人が集まり、新しい事業展開も考えられる」と話す。「発展する都心にあれば、印象も向上する」という期待もある。

宝塚大(兵庫県宝塚市)は4月、阪急梅田駅北の大阪梅田キャンパスを増築し、「看護学部」を新設、校名も宝塚造形芸術大から改めた。127人の新入生の大半が、大阪府、兵庫県内の自宅生。同学部では「自宅通学できる便利さで学生が集まった。狙い通り」。

天理大(奈良県天理市)は4月から就活拠点として、JR大阪駅南西に同大学初のサテライトを開いた。就職未定の卒業生も対象で、専門職員の常駐など、進路部と同機能を持たせる。

キタには関西学院大、大阪市立大、同志社大などもサテライトを持っている。

最初に大阪の都心部に足場を置いたのは社会人対象の大学院だ。00年頃から近畿や中四国の大学が次々と進出。07年に発足したNPO法人「関西社会人大学院連合」には早稲田大、慶応大も含め25校が参画する。

経営学修士(MBA)などビジネス関連が中心だが、08年からは、加盟校が合同で行うセミナーなど短期集中講座を開講。地の利を生かし、理系やシニアなど新たな受講者を狙っている。

キタは今後も梅田北ヤード(第1期13年完成予定)に奈良先端科学技術大学院大が入るなど産学連携の拠点になることが見込まれる。

都市計画が専門の角野幸博・関西学院大教授の話「大学も都市も情報発信の中心で、本来大学は都心にあるべきもの。就職など特定の業務に限らず、文化や経済政策など都市の基盤と結びついた教育や研究の場へと発展させるべきだ」

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