教育費の国際調査 機会均等、立て直し急げ
先進国の中で、依然「低空飛行」が続いている。国内総生産(GDP)に対する国や地方自治体の教育支出の割合である。
先日、経済協力開発機構(OECD)が公表した2006年分の加盟国調査によると、各国平均4・9%に対し、日本は3・3%。28カ国中「ワースト2位」だった。
とりわけ気になるのが、全教育費に占める「私費」の負担だ。33・3%と韓国に次いで2番目に高く、各国平均の2倍以上にもなる。公的支出で足りない部分を各家庭で補っている姿が見えてくる。
経済格差が深刻でない時代なら、まだそれでもよかったのかもしれない。しかし低所得者層が増えている中、各家庭の「教育費格差」は見過ごせない問題だろう。
文部科学省の全国学力テストの分析でも、保護者の年収と子どもの成績が比例する傾向があることが明らかになったばかりだ。勉強したいと望む子どもたちには、質の高い教育機会が保障されるシステムを考える必要がある。
私費負担の割合が67%と、各国と比べて特に高いのが大学や専門学校などの高等教育である。経済的な理由で中退する若者を増やさないためにも、奨学金の拡充も急がねばならない。
民主党は教育予算を「対GDP比5%以上」にするという目標をうたっている。各国のほぼ平均値だ。
具体的な政策としては、教員の増員を挙げている。日本は教員1人当たりの児童生徒数が多く、一人一人のニーズに応えにくい。教員の忙しさも増す中、子どもとしっかり向き合う時間をつくれるようにとの狙いだ。教員の質を高めるため、3年後には教員養成を6年に延長する方針も示している。
高校生のいる世帯に対しては、授業料の無料化や助成をする公約を掲げている。家庭の学費負担を軽くするためだ。
日本の教育予算は、対GDP比の数値は低くても、児童生徒1人当たりの支出はそう少なくない、という見方もある。先進国の中で最悪の財政状況の中、他予算とのバランス論もあるだろう。
ただ、教育の機会均等の保障さえ危ぶまれるような公教育の状況は放置できない。現場の実態を踏まえながら、より効果的な対策から優先的に打ち出していくべきだ。