学校拠点実習が教員養成モデルに 「福井方式」が中教審答申反映『福井新聞』2012年8月29日付

『福井新聞』2012年8月29日付

学校拠点実習が教員養成モデルに 「福井方式」が中教審答申反映 

 中央教育審議会の28日の答申には、教員養成と研修の一体化や教職大学院の拡充に向けた提言が盛り込まれ、福井大教職大学院と県教委による学校拠点方式の取り組みが、教員養成のモデルとして随所に反映された。少子化などを背景に教育系学部の不要論もある中で、「福井方式」が全国の大学から注目を集めそうだ。

 いじめや不登校問題、ICT活用など学校現場の課題は高度化、複雑化しており、答申の第1の特徴は「学び続ける教師像」を鮮明に打ち出した点にある。これまで分断していた養成(大学)と研修(教育委員会)を一体化し、教員生活全体を通じて学び続けることを促す必要性を求めた。

 教員免許を「一般免許」(修士レベル)「基礎免許」(学部卒)と、高い専門性を身に付けたことを証明する「専門免許」に種別化する提案が盛り込まれたのは、こうした背景によるものだ。

 第2に、その受け皿として、教職大学院の拡充・整備が強く打ち出された。答申では「教職大学院の設置されていない都道府県においては、大学と教育委員会との連携・協働により、教職大学院の設置を推進することが望まれる」と踏み込んで提言された。

 これらの提言は、福井大教職大学院と県教委が2008年度に始めた学校拠点方式による教員養成の取り組みがベースになっている。答申には改革モデルとして「一部の教職大学院については、学校を大学院の実習・学修の拠点とする方式により、現場での課題の解決に当たる試みを行い成果を上げている」と紹介された。

 福井大教職大学院は、拠点となる学校での具体的な課題の解決を題材として、現職教員や学部卒の院生が、現場で学ぶことを基本としている。さらに大学教員が拠点校を定期的に訪れ、学校全体の教員を含めて一体的な研究を進めている。教委との密接な連携による取り組みは、他県の教職大学院にはみられない。

 同大によると、中教審の審議過程を踏まえ、すでに複数の大学から「福井方式」導入に向け、共同研究の申し込みもあるという。同大教職大学院の松木健一専攻長は「福井のためだけでなく、日本全体の教育を念頭においてきた。各大学が連携して授業を持ち合いにするなど、全国的なネットワークを構築していくことが重要」と話す。

 また教員研修の充実に関して、校内研修や自主研修の活性化と、それらの成果を単位化するなどの提言も盛り込まれた。

 すでに県教委は教員の修士号取得に向け、福井大教職大学院と連携して現職研修を単位とする検討も行っている。今後、制度改革とともに、先進事例として一気に進む可能性もある。

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