公務員給与引き下げで苦慮=連合配慮か人勧尊重か-政府 時事通信配信記事2011年10月11日付

時事通信配信記事2011年10月11日付

公務員給与引き下げで苦慮=連合配慮か人勧尊重か-政府 

 国家公務員給与の引き下げをめぐり、政府が苦慮している。人事院は先月30日、年収の平均0.23%引き下げを勧告。しかし、民主党最大の支持団体である連合が、給与を平均7.8%削減する特例法案と公務員制度改革関連法案の成立を優先させ、人事院勧告を実施しないよう求めているためだ。

 野田佳彦首相は11日、政権発足後初めて、連合の古賀伸明会長との正式な定期協議に臨んだ。この席で古賀氏は、人事院勧告について「実施すべきではない」と主張するとともに、特例法案と公務員法案の成立に「全力を挙げてほしい」と迫った。

 政府は、東日本大震災の復興財源捻出に向け、勧告に基づかずに給与を引き下げる特例法案を6月に国会に提出。連合の同意を取り付けるため、給与などを労使交渉で決めることができる協約締結権付与を盛り込んだ公務員法案を併せて成立させる約束をした経緯がある。しかし、協約締結権付与に、自民党は「長期的には公務員給与の上昇につながりかねない」などとして難色を示しており、両法案は成立のめどが立っていない。

 一方、人事院勧告は国家公務員の労働基本権を制約する代償措置と位置付けられ、政府は勧告を尊重すべき立場。実際、勧告実施を見送った例はほとんどなく、実施のためには給与法を11月末までに改正する必要がある。

 こうした事情から、政府には人勧のみ実施という選択肢もあるが、悲願の協約締結権付与が見送りとなれば、連合の反発は必至だ。このため政府は、(1)人勧を実施した上で、勧告分を差し引いた特例法案を再提出(2)自民党に配慮して公務員法案を切り離し、特例法案を先行して処理-といった打開策も模索している。

 しかし、こうした「折衷案」が、「連合と自民党の同意を同時に得られる保証はない」(政府関係者)。タイムリミットが迫る中、首相は連合の主張に重きを置くのか、人勧を尊重するのかという難しい判断を求められている。(2011/10/11-21:24)

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