『沖縄タイムス』2011年10月5日付
[国家公務員給与]削減は改革とセットで
人事院勧告に沿って国家公務員の年収を0・23%減らすか。それとも継続審議のままたなざらしとなっている臨時特例法案の成立を目指し、7・8%削減するのか―。国家公務員給与カットをめぐり、野田政権は難しい判断を迫られている。
政府は4日、給与関係閣僚会議を開き、人事院勧告への対応を協議した。が、結論には至らなかった。
9月末に内閣と国会に提出された人事院勧告は、月給を3年連続引き下げ、ボーナスは現状維持とし、年収では0・23%の減額となる内容だ。実施されれば、平均年収は1万5千円減となる。
人事院勧告は、労使交渉で給与や労働時間を決められないなど、公務員の労働基本権が制約されていることへの代償措置である。毎年、民間給与との比較を基に行われてきた。尊重義務があるとされ、歴代内閣は勧告通りの給与改定に努めてきた。
だが、今年は状況が異なり、勧告の実施を見送る可能性がある。菅政権時代の6月、東日本大震災の復興財源確保を名目に、国家公務員の年収を7・8%削減する特例法案が国会に提出されたためだ。
成立すれば年間3千億円弱の財源が生じる見通しだったが、政局の混迷で審議入りのめどすら立っていない。
人事院勧告と給与削減法案では、減額の幅に大きな開きがある。どちらを優先させるべきか。今年に限っては、法案をほごにして勧告通りの実施に踏み切る選択肢はないと考えた方がいい。
政府は、震災の復興財源を賄うために臨時増税する方針を決めた。国民に負担を強いるのであれば、まずその前提として財源探しを徹底すべきだ。公務員給与の見直しは避けられない。
被災地をはじめ全国各地の公務員が、献身的に職務に当たり、国民生活を支えているとはいえ、「官」に向ける国民の目は厳しい。国家公務員宿舎朝霞住宅(埼玉県)の建設事業は凍結された。
給与削減は士気の低下につながるとの指摘もあるが、震災復興を抱える今年は、人事院勧告による削減だけでは国民が納得しないだろう。
そもそも国家公務員の給与カットは、民主党がマニフェスト(政権公約)で「総人件費の2割削減」を掲げた看板政策でもある。野田政権は原点に立ち返り、給与削減法案の成立に向けて粘り強く努力すべきだ。
ただ、成立には大きなハードルがある。
同法案とセットで扱うことになった公務員制度改革関連法案には、労働基本権のうち協約締結権の付与が盛り込まれた。連合系公務員労働組合の主張を受けたもので、労働条件を交渉で決められるようになる。
だが、これには自民党が反対しており、ねじれ国会で関連法案成立の見通しは立たない。かといって給与カットだけを先行させれば、労組の反発は必至だ。
この難しい連立方程式をどう解くか。公務員制度改革は、国民生活に広く関わる。納得できる議論を求めたい。