『朝日新聞』2011年10月7日付
下條・新潟大学長が再選 医療機器問題の経緯を問う声も
新潟大学は6日、任期満了に伴う次期学長選考会議を開き、下條文武(げじょう・ふみたけ)学長(67)の再選を決めた。巨額の医療機器購入をめぐる混乱を引きずったまま迎えた学長選で、下條氏は「説明責任を果たしていない」との批判を浴びた。再選後の会見で「早期解決が私の責務」と述べたが、捜査への支障を理由に事件の背景は公表しない、とする従来の方針を繰り返した。
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新潟市中央区の同大施設であった選考会議には、神保和男・前副知事ら外部の選考委員5人と学内の選考委員7人が出席。満場一致で下條氏を選んだ。医療機器購入問題への対応も議題に上り、「経緯をよく知る下條氏に任せるべきだ」との意見で一致したという。
新潟大は4月、元副学長の永山庸男教授(55)が、がん治療に使う医療機器を購入するため学長印を不正に使用したと発表。その後、同教授を有印公文書偽造・同行使の容疑で刑事告訴。これに対し、契約の交渉相手だった中堅ゼネコンの安藤建設(東京都)が6月、機器購入のため立て替えたとする頭金など約19億円の支払いを同大に求めて東京地裁に提訴した。
この間、大学側は、医療機器導入を検討した経緯や、学長が果たした役割について一貫して詳細を明らかにしていない。
学長選で、候補の一人、理学部長の谷本盛光氏(62)は「事実経過を『捜査の支障』ということで不明にしたままでは、学内外の理解は得られない」と指摘。もう1人の候補、脳研究所長の高橋均氏(59)は「新学長、新執行部で対処し、長期化、泥沼化を回避するべきだ」とした。
選考会議の参考にするための学内の2度の意向調査では、いずれも下條氏がトップとなったが、1回目は有効投票959票のうち405票、2回目は同850票のうち363票と、いずれも過半数を下回った。
その背景には、問題の対応への不満があるとみられる。関係者によると、「執行部の説明が不十分で、優秀な人材が流出する」「民事訴訟では和解が避けられず、研究費削減につながるのではないか」との声が出ているという。
下條氏は再選後の会見で「刑事事件の結果が出ておらず、民事裁判も係争中のなか、可能な範囲の説明はしてきた。なぜ起きたのか説明がないとの主張があるが(捜査に)影響のある事柄は控えた」と従来の説明を踏襲。その上で「将来にわたり禍根を残さないよう努力し、再発防止を図ることが私の責務」と述べた。(高岡佐也子、吉武祐)