六角堂 年内「再現」へ 海底調査終了方針 茨城大、実測図もとに『東京新聞』茨城版2011年6月15日付

『東京新聞』茨城版2011年6月15日付

六角堂 年内「再現」へ 海底調査終了方針 茨城大、実測図もとに 

 茨城大学は十四日、東日本大震災の津波にさらわれて流失した同大学五浦美術文化研究所の六角堂(国登録有形文化財)を探すため、北茨城市沖の本格的な海底調査を行った。ダイバーが潜水して調べた結果、建物本体は見つからず、瓦など重量のある部分のみ発見された。同大ではさらなる発見は困難とみて海底調査を終える方針で、今後は再建工事に入り年内の完成を目指す。 (永山陽平)

 六角堂は明治時代の思想家・岡倉天心が思索する場として自ら設計し、太平洋に張り出した岸壁の上に一九〇五(明治三十八)年に造られた。六角形の形状と朱色の壁面が特徴。一九五七(昭和三十二)年に土台の補強工事などを施していたが、震災の津波によって跡形もなく流された。

 同大では六日に行った下調べで、六角堂から約十メートルの海中で二十六枚の瓦を発見し、本体の存在を期待した。この日は六角堂から東西に約四百メートル、南北に約三百メートルと範囲を広げて、協力を依頼した専門業者のダイバー二人が水深三~九メートルの海底を探った。

 魚群探知機の反応を見ながら潜ったが、収穫は「擬宝珠(ぎぼし)」と呼ばれる屋根飾りの台座や十数枚の瓦に限られた。柱や壁面などは沖合に流されているとみられ、調査を指揮した同大の三輪五十二(いそじ)特命教授(66)は「残念ながら建物を見つけられなかった。(見込みがないことから)海底調査はもうしないだろう」と話した。

 再建工事は、残っている実測図をもとに忠実に再現し、年内にも完成させる方針だ。建設費は約千五百万円の見込み。国からの補助金のほか「茨城大学の岡倉天心記念六角堂等復興基金」への寄付金などを充てる。

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