『読売新聞』2011年5月2日付
中学教員課程全廃も…長崎大、学部設置へ再編検討
長崎大(長崎県長崎市)が、教育学部の中学校教員養成課程(定員70人)について、廃止を含めた再編を検討していることがわかった。
新学部設置に向け、既存学部を再編して学生定員と教員を確保するためで、全国の国立大学法人の教育学部(教員養成系学部)で全廃は異例。専門家は「地域教育に打撃を与え、中学教員の質の低下を招く」と懸念している。
関係者によると、設置を目指しているのは教養教育系の文系学部で、学生数は1学年約100人、教員数は40人程度を想定。学部再編によって学生定員と教員を確保する必要があるとの判断から、中学課程の全廃か縮小の検討を始めた。
大学側は昨年8月以降、教育学部の教授らに対して検討内容を説明。「学生の教員就職率が6割程度と低く、十分に機能していない」として、改編後は小学校や特別支援学校の教員養成に特化する方針を示した。仮に廃止した場合でも、学部に関係なく中学教員免許が取れるような全学的な態勢を残すという。
しかし、教育学部からは「全学的な態勢では、従来のような専門的な指導ができない」「中学教員志望者が、他県の大学に流れてしまう」などと反発の声が続出。大学側から打診を受けた文部科学省も、学部再編の前提として「全学的な合意」を条件にしており、現在も大学側と教育学部の教授らとの協議が続いている。
大学側は、早ければ来年度にも新学部を発足させたい考え。少子化に伴い、全国の地方大学は“生き残り”をかけて他大学との差別化を図っており、長崎大の新学部構想もその一環とみられる。
大学側は本紙の取材に対し、「新学部の設置を検討しているのは事実だが、中学課程の再編など具体的なことは何も決まっていない」と説明。片峰茂学長は「長崎大は総合大学だが、社会学部など基礎的な研究領域が欠失している。こうした分野を志向する地元の高校生は多い」と再編の必要性を示唆する。
教育評論家の尾木直樹・法政大教授の話「大学の生き残り策として学部を再編するというのは理解できるが、全学的な態勢では、養成課程で教員がじっくり学生を指導するという仕組みがなくなり、将来的に教員の質の低下を招く恐れがある。地方大学は地元の教員養成に責任を持つ立場なので、慎重に検討すべきだ」