『信濃毎日新聞』 2014年2月3日付
信大法科大学院、募集停止検討 司法試験合格率低迷で
信州大(本部・松本市)が、法曹(弁護士、検察官、裁判官)を養成する同大法科大学院(大学院法曹法務研究科・松本市)について、早ければ2015年度に入学者の募集を停止する方向で検討していることが2日、分かった。募集が停止されると、既に廃止された法科大学院を含め、全国で10例目。国立大では島根大に続き2例目となる。同大学院修了者の司法試験合格率が低迷していることや、入学者の確保が難しくなっていることなどが理由とみられる。
司法試験をめぐっては、法科大学院を修了しなくても受験資格を得られる予備試験の受験者数が増加するなど、法科大学院離れが進んでいる。さらに、国が12年度から法科大学院に対する補助金を司法試験合格実績や入試競争倍率に応じて減額するなど制度改革を進めていることも、信大が募集停止を検討している背景にありそうだ。
信大法科大学院は県内唯一の法科大学院として、経済学部を母体に05年に設立。定員40人の3年課程で始まり、11年に主に法学系学部の卒業者を対象にした2年課程を新設した。
県内で弁護士活動を志す受験者を優先的に選抜する「地域」枠を設けるなど、地域に根差した法曹の養成に力を入れてきたが、司法試験の合格率は低迷。13年度の合格者は5人で合格率は10・0%となり、全国平均の26・8%(法科大学院を経由しない人を含む)を大幅に下回り、4年連続で全国平均の2分の1未満だった。同大学院修了者の司法試験合格者はこれまで22人。
入学定員は10年に18人に削減したが、13年度の入学者は定員の56%に当たる10人にとどまっていた。
同大学院は、募集停止前に入学した学生については、信大内の学習環境を維持していく考え。
法科大学院は司法制度改革の一環として04年に導入された。現在全国に73校あるが、4校が学生募集を停止し、4校が停止を決定。これ以外に1校が13年3月に廃止されている。