バリアフリー目指せ…大学が本格的に取り組み 『読売新聞』 2014年1月27日付

『読売新聞』 2014年1月27日付

バリアフリー目指せ…大学が本格的に取り組み

和歌山大は、「障害者差別解消推進法」が2016年4月に施行されるのを前に、障害を持つ学生が学びやすいキャンパスの整備に本格的に取り組む。

2月には、学生も加わって学内の実態を調査するなど、大学が一体となって障壁や段差をなくすバリアフリー化を一層進めていく。

和歌山市栄谷の丘陵地に広がる和歌山大のキャンパスには、長く急な坂道や階段など、障害者にとって移動が難しい場所が点在している。大学はこれまで、車いすの学生が入学する際に、要望を受けてスロープを設置するなど対応してきた。

障害者差別解消推進法では、国などに対して公共施設で障害者が壁を感じずに生活できるよう配慮することを義務づけている。そこで、大学自らキャンパスの問題点を調査、解消していく積極的な姿勢をとることにしたという。

2月19日には、自身も車いすを利用し、立命館大学在学中の2010年に福祉コンサルティング会社を設立した垣内俊哉さんを大学に招いてセミナーを開催。参加した学生とともに車いすで学内を巡って調査し、当事者の目線で大学側に改善点を提案する。

また、車いすでも入りやすい多機能トイレやエレベーターなどを分かりやすく図示し、ホームページ上などで公開する「バリアフリーマップ」の作成も進めており、今年3月末までの完成を目指している。

学生支援課の担当者は「学生が調査に関わることで、障害者が暮らしやすい施設作りについて考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。

同大学教育学部の江田裕介教授(特別支援教育学)は、「学内には、身体障害者にとって開閉の難しいドアや独力で進みにくい急なスロープもある。学生が相手の立場に立って問題点を発見することで、障害者への理解が深まる」と期待。今回のセミナーにも、ゼミの学生を積極的に参加させるなど協力する。

参加を予定している教育学部3年坂田夏巳さん(21)は「障害を持つ学生も、健常者と同じように楽しくキャンパスで快適に過ごせるように、力になりたい」と意気込んでいる。(伊藤晋一郎)

 

 

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