大学入試改革提言、現場への十分な配慮必要 『産経新聞』 2013年10月31日付

『産経新聞』 2013年10月31日付

大学入試改革提言、現場への十分な配慮必要

現行の一発勝負、1点差勝負の大学入試制度からの大転換を求め、31日にまとめられた教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)の第4次提言。複数回受験できる「達成度テスト」の導入を柱にしており、「平成2年の大学入試センター試験開始以来の大改革」(安倍晋三首相)となる。だが、受験生や学校側の負担も少なくなく、今後議論される具体的な制度設計にあたっては、教育現場への十分な配慮が必要といえそうだ。

■複数回チャレンジ

第4次提言の最大のポイントは、生徒がもつ本質的な能力や適性を、どのように評価するかだ。現行の一発勝負型の入試制度は運にも左右され、1点差勝負型の評価方法には「知識偏重」との批判が強かった。

実際、1点刻みの点数評価ではボーダーラインに得点が集中し、「東京大学の入試をやり直したら合格者の3分の1が入れ替わるだろう」(大学関係者)との声もあるほどだ。

第4次提言では、高校在学中に実施される「達成度テスト・基礎レベル」と、大学入試センター試験に代わる「達成度テスト・発展レベル」を導入。いずれも複数回受験できることにした。

■透明性を保てるか

だが、大幅な入試改革には高校や大学側からの反発も予想される。東京の都立高関係者は「複数回のテストを行うとなれば、授業カリキュラムの変更だけでなく、生徒のクラブ活動にも大きな影響が出る」と話し、負担増を懸念する。

入試の公平性、透明性をどう保つかも課題だ。第4次提言では、発展レベルのテストで結果を1点刻みの点数で示すのではなく、一定幅の点数で段階別に表示することにし、大学ごとに実施する2次試験では面接や論文なども重視するよう求めた。しかし、その評価と採点基準をめぐり、疑問視する声も根強い。

入試現場に詳しい北海道大学の佐々木隆生名誉教授は「生徒の発言力や文章力を高める必要性はもちろんあるが、入試のための面接や論文になってしまっては意味がなく、誰もが納得するかたちでの合否判定は困難だ」と話す。

■丁寧な進め方を

こうした批判は、政府でも十分認識している。安倍首相は31日、「小学校から大学までの教育全体を変えていくことにもつながる」と提言内容を評価するとともに、「受験生、保護者、国民に説明を行いながら、丁寧な進め方が重要だ」とも述べた。

第4次提言では、大学入試改革の目的として、「高校教育で本来養うべき・多面的・総合的な力の育成」を打ち出している。そのためには、大学入試に合格することが目的化しているような現状を大胆に変えていくことが不可欠だ。

下村博文文部科学相は「中央教育審議会で具体的な実施項目を検討し、入試改革を着実に実行していきたい」と強調した。

 

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