留学促進:就職、国が後押し 企業も奨学金…文科省方針 『毎日新聞』 2013年10月21日付

『毎日新聞』 2013年10月21日付

留学促進:就職、国が後押し 企業も奨学金…文科省方針

文部科学省は来年度から、大学生の海外留学を促進するため、民間企業と連携して留学経験者の就職を有利にするプロジェクトを実施する方針を決めた。留学前後には研修を開催。帰国後には企業のインターンシップ(職業体験)や説明会の場を設け、就職に結びつける計画だ。国の奨学金制度に企業の奨学金も組み合わせ、自己負担を大幅に軽減する。文科省は全国で200社を目標に、総額200億円規模の民間資金を活用する考えで、来秋にも最初の留学生を送り出す予定だ。

日本人学生の海外留学者数は2004年の8万2945人をピークに、10年は5万8060人と減少傾向が続いている。文科省が原因を分析したところ、留学が就職に結びつくとは限らない▽帰国後、留年する可能性がある▽費用がかかるなどの消極的な考え方が学生に広がっていることが分かった。また留学経験の仕事への生かし方の理解が学生にも乏しく、企業の求める人材とのミスマッチを抱えていることも分かった。

このため文科省は、国、民間、大学による「グローバル人材育成コミュニティー」構想を立案。来年度当初予算の概算要求に、前年の3倍に相当する大学生3万2500人、高校生3600人を対象とした留学奨学金事業153億円を計上した。さらに企業には「欲しい人材」に沿った形の奨学金を創設してもらい、国の制度と組み合わせて留学を希望する学生の負担を大幅に軽減する。

参加企業には学生を選抜してもらい、留学前後に研修を実施。「なぜ留学が必要か」「留学経験をどのように社会で生かすか」など社員が直接学生に伝える。その上で留学修了者を対象としたインターンシップや企業説明会も実施し留学と就職を結びつける。研修の過程で学生と企業が「相思相愛」となれば、入社の可能性も高まる。参加企業間での情報交換も促し、留学経験がある学生は、広く企業から内定が得やすくなるという。

下村博文文科相は「留学することが就職にも有利になると思う。私もトップセールスで企業に協力をお願いする」と話している。【福田隆】

 

 

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