教育の質や人材育成考慮 大学入試改革の提言素案 『日本経済新聞』 2013年10月12日付

『日本経済新聞』 2013年10月12日付

教育の質や人材育成考慮 大学入試改革の提言素案

政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は11日、会合を開き、大学入試改革の提言素案を委員に示した。現在の大学入試センター試験に代わる新共通テストと、高校生の学習到達度を確かめる基礎学力テストの2種類を創設するのが柱。同会議は素案を土台に議論を進め、10月末にも最終的な提言をまとめる。

会合の冒頭、安倍晋三首相は「能力や意欲を多面的、総合的に評価し判定する方向に転換する必要がある」と入試改革の重要性を訴えた。

素案は、知識偏重の1点刻みの大学入試や学力不問の一部の推薦・AO(アドミッション・オフィス)入試が大学合格を目的化し、「大学が求める人材像と入学者選抜が評価している能力とのギャップが生じている」と指摘。教育の質向上や人材育成機能の強化に向け、入試改革を行う必要があるとした。新テストの導入時期は「高校生に不安を与えないよう十分な周知期間をおくことに留意する」とした。

この日の会合では、高校での学習到達度を確認する新テストについて「高校生の実態は多様で、テストの具体的な内容には丁寧な検討が必要」「参加希望型ではなく、できる限り全員が受けられるものにすべきだ」との指摘があった。「テスト結果を検証し、高校教育の改善にも役立てられる」と導入には前向きな意見が目立った。

センター試験に代わる大学入試用テストについては「(大学側の)負担増を懸念する声がある。慎重な制度設計が必要」との意見が出たほか、「導入されれば各大学は面接試験などを重視することになる。面接官として大学OBや企業人に協力を求めることも考えられる」との意見があった。

別の委員は「2つのテストを完全に分ける必要はない。『基礎』と『発展』として一種類の試験にしてはどうか。ただし、複数回実施すべきだ」と述べた。

同会議は議論を踏まえ、提言で新テストの大きな方向性を示す方針。具体的な制度設計は、提言の提出後、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)で議論される見通しだ。

 

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