返済が不要な「給付型奨学金」に注目 企業や財団…資格含め多様 『産経新聞』 2013年10月7日付

『産経新聞』 2013年10月7日付

返済が不要な「給付型奨学金」に注目 企業や財団…資格含め多様

家計を圧迫するのが大学の授業料などの教育費。そこで注目したいのが、返済が不要な「給付型奨学金」。民間の企業や財団のほか、最近では大学が独自に導入するケースが増えている。

「生命保険文化センター」(東京都千代田区)の平成22、23年度調査によると、自宅通学で国立大学に4年間通った場合、入学金や授業料、生活費などの1人当たりの教育費は平均約511万円。私立文系は約671万円、私立理系では約803万円。1人暮らしとなると、さらに数百万円が余計にかかる。

世帯収入が低いほど大学進学率が低下する傾向にある。しかし、返済が不要な給付型奨学金を使えば進学も可能だ。

子育て世代の家計アドバイザーでファイナンシャルプランナー、北村きよみさんは「大学奨学金には貸与型と給付型があるが、給付型があることを知らない人が多い。インターネットなどで情報がたくさん見られるので、ぜひ調べてみてほしい」と話す。

◆予約型も

給付型奨学金の運営主体は民間企業や財団などで、運営主体によって応募条件や給付額などは異なる。応募方法は高校や大学を通じて、または希望者本人が直接応募するケースがある。いずれも家計の経済的状況や成績、人物などで給付を考慮される。

最近では、高校在学中に受験予定の大学に奨学金を申請し、合格し実際に入学すれば授業料免除や奨学金支給が得られる「予約型の給付型奨学金」も増えている。

◆大学も導入

近年は給付型奨学金を導入する大学も増え、種類も豊富になっている。

「リクルートマーケティングパートナーズ」(同)の23年11月の調査では、全国の約8割の大学で給付型奨学金を導入している。

早稲田大学(新宿区)によると、学部と大学院を対象にした独自の学内奨学金は約100種類あり、全てが給付型奨学金だ。

日本学生支援機構や民間の奨学金などとの併用が可能で、(1)成績優秀(2)家計の経済的状況-などの各条件により給付。年間約6600人が受給している。

慶応大学(港区)では学部・大学院が対象の独自奨学金は67。成績優秀者や家計困窮者、地方出身者用のほか、海外での学習支援などさまざまなタイプがある。年間約2600人が受給している。

北村さんは「極端に成績が優秀でなくても、家計が苦しくなくても受けられるタイプのものもあるので、よく調べてみて」と話している。(清水麻子)

■親が病気の人向けも

がんなど病気で学業の継続が困難になった人向けの給付型奨学金もある。

「アフラック」(東京都新宿区)は平成26年度から、親をがんで亡くした遺児のための給付型奨学金の対象を小児がん経験者にまで拡充。月額2万5000円の奨学金を高校卒業まで支給する。

NPO法人「J.POSH」(大阪市鶴見区)は、乳がんで母親や保護者が亡くなったり、闘病中だったりした場合、月1万円の奨学金を高校生らに支給している。

 

 

 

 

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