入試問題:98大学で外注 07年中止要請も逆に拡大 『毎日新聞』 2013年9月30日付

『毎日新聞』 2013年9月30日付

入試問題:98大学で外注 07年中止要請も逆に拡大

今春実施された大学入試のうち、全国の98大学が問題の作成を予備校や受験関連企業に委託していたことが、文部科学省の調査で分かった。同省が2007年度に初めて「問題外注」の実態を調査した際は71大学で、当時より4割近く増加している。同省は07年7月、全国の大学に入試問題の独自作成徹底を通知したが、逆に拡大している実態が明らかになった。大学入試改革を検討している政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)の議論にも影響を与えそうだ。

調査は今年46月、全国の740大学を対象に実施した。外注していた大学は私立大97校、公立大1校。国立大はなかった。私立大では6校に1校が外注していたことになるが、調査は大学の自己申告で「実際にはこの2倍以上あるのではないか」とみる受験関係者もいる。

関係者によると、受注しているのは教育コンサルタント会社や予備校で、作成費は1教科あたり100万円前後とされている。

入試問題の外注を巡っては、07年度入試で全国の国公私立大741校(当時)のうち71校の私立大が外部に委託していることが判明。同省は、入試問題の漏えいや公平性が損なわれる恐れがあるとして07年7月、全国の大学に「(問題の)作成は大学の受け入れ方針に基づき、自ら行うことを基本とする」と通知。今春実施された入試要項でも外注しないことを求めていた。

大学入試の見直しを検討している教育再生実行会議は、高校生の学力把握のために「到達度テスト」の導入などを検討しているが、大学の「問題外注」は、各大学が独自の教育理念に基づいて入学を求める学生像を示すアドミッションポリシーの放棄ともいえ、今後の入試改革でも議論になりそうだ。【水戸健一、三木陽介】

◇理念軽視の背信行為

大学の力量低下を象徴する入試問題の外注だ。個々の大学が教育目的に合う学生を選ぶ入試問題の作成を、受験産業に委ねることは本末転倒と言わざるを得ない。

少子化などで私立大の4割が定員割れする状況の中、学生確保を巡る大学間の競争は激しい。定員確保のため、同じ学部や学科を何度も受験可能にしたり地方受験の機会を設けたりする大学が増加。作問量は当然増えるが教員が対応しきれていない。悪問も発生する。

 

 

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