累積滞納額が過去最高 県奨学会 『大分合同新聞』 2013年9月21日付

『大分合同新聞』 2013年9月21日付

累積滞納額が過去最高 県奨学会

県内の高校・大学生に奨学金を貸与する県奨学会が滞納額の増大に苦慮している。2008年度以降、返済時期を迎えた奨学生の増加に伴い、累積滞納額が急増。12年度末には過去最高の約1億1千万円まで膨らみ、この5年間で倍増した。悪質な滞納者に対し、法的措置に踏み切るケースも相次いでいる。返済金は次世代の奨学金の原資となるだけに、滞納金の回収強化に力を入れる。

奨学金の返済は高校・大学在学中は猶予し、卒業の半年後から最大19年の期限内に年2回の分割で返済する。

05年度に高校生向けの奨学金事業を日本育英会(当時)から引き継いだ経緯もあり、ここ数年は在学猶予を終えた「返還対象者」が毎年千人近いペースで増加。奨学金の回収率は80%前後を維持しているものの、対象者の増加に比例して累積滞納額も急増し、12年度には設立以来初めて1億円を突破した。

近年は音信不通の状態が続いたり、返済可能な収入がありながら再三の督促に応じないケースもあり、悪質と判断した場合は家庭裁判所に支払い督促を申し立てる。これまで年間数件だった申立件数は12年度に57件に急増したという。

今後も返済時期を迎える奨学生の増加が見込まれるため、県奨学会は債権管理に精通した金融機関と県税事務所のOB2人を専従として配置するなど回収体制を強化。一方で経済的な負担を考慮し、希望者には月払いでの分納に応じることも検討する。

県奨学会は「滞納金が増える背景には不況や就職難の影響もあるが、話し合いができれば無理のない返済方法に応じることもできる」とした上で「督促しても一向に反応がなければ法的措置を取るほかない」としている。

<メモ>
県奨学会は1961年設立。現在は公益財団法人。経済的な理由で修学が困難な県内の高校生に月額1万8千~3万5千円、大学生に月額3万6千~5万1千円を無利子で貸与するなどしている。12年度は高校・大学生の計3378人に総額約9億2800万円を貸し付けた。高校生向けの奨学金制度の利用者は約1千人で、県内全体の高校生の約1割に当たる。返還に関する問い合わせは県奨学会(TEL097-506-5620)へ。

 

 

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