ベンチャー設立へ 大学院大学、製薬会社にデータ 『琉球新報』 2013年9月13日付

『琉球新報』 2013年9月13日付

ベンチャー設立へ 大学院大学、製薬会社にデータ

沖縄科学技術大学院大学(OIST)が、医薬品開発に必要なタンパク質のデータを製薬会社などに提供するベンチャー企業の来年度中の設立を目指していることが12日、分かった。同大が特許を保有する技術を活用する。同大学の目指す沖縄の自立的発展と世界の科学技術向上への貢献に向けた第一歩として、知的産業クラスター形成推進や雇用促進が期待されている。

ベンチャー企業設立は、文部科学省の大学発新産業創出拠点(START)プロジェクトの一環で、2012年度に採択。文部科学省が研究開発費や市場調査費などとして、12年度に約1500万円、13年度に約3千万円を補助している。

社長は学外の会社経営経験者が務める予定。企業事務所の設置場所や目標の年間収益は検討中。収益の一部は技術の特許使用料として、同大学に還元され、運営費にも充てられる。

ベンチャー企業は、構造細胞生物学を研究するウルフ・スコグランド同大教授が開発し、同大学が特許を保有するタンパク質の「3次元分子構造解析」技術を活用する。

同大事業開発セクションの担当者によると、製薬会社が医薬品を開発する場合、薬がタンパク質にどう影響を与えるかを調べる必要がある。だが、従来の方法ではタンパク質の約8割が分子レベルで可視化できないため、薬の働きを調べるために多くの実験を重ねるという。同大の技術を活用すると、これまで見られなかった残り8割を可視化できる。

担当者は、今回の技術を活用することで「国際的な薬品の認可承認を受ける時に非常に有効なデータになる。これまで実施してきた実験がいらなくなる可能性もあり、経費節減につながる」と話した。

 

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