国際戦略委員会(第1回) 議事録  平成25年7月11日

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu21/gijiroku/1338902.htm

国際戦略委員会(第1回) 議事録

1.日時
平成25年7月11日(木曜日)10時~12時

2.場所
文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
東京都千代田区霞が関三丁目2番2号

3.議題

1.国際戦略委員会運営規則について

2.科学技術・学術分野の活動の国際戦略について

3.その他

4.出席者
委員

大垣主査、有信委員、浦辺委員、白石委員、角南委員、高木委員、松見委員、山田委員、WIECZOREKアドバイザー

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、磯谷科学技術・学術総括官兼政策課長、長野科学技術・学術戦略官(国際担当)兼国際戦略室長、荒川科学技術・学術戦略官(国際担当)付企画官、原国際戦略室長補佐

5.議事録

○事務局から国際戦略委員会運営規則(案)について説明があり、了承された。

○主査代理に、科学技術・学術審議会運営規則第5条第7項の規定に基づき、大垣主査が有信委員を指名した。

(傍聴者入室)

【大垣主査】  よろしいですかね。それでは、議事に入っていきたいと思いますが、その前に、今回は第1回目の国際戦略委員会でありますので、新たに主査を務める私から簡単に御挨拶を申し上げます。

国際委員会という名前から「国際戦略委員会」に変わりまして、新しい機能といいますか、期待を受けて活動しないといけませんので、是非よろしくお願いしたいと思いますが、私個人の感じでは、今、大きく社会が変化しておりまして、一つは構造的な変化で、日本は人口減、世界の開発途上国、あるいは新興国では人口の増加、それから都市化というような、それ自体、全体がグローバル化しているという構造的な変化があります。

もう一つは、不連続な変化の方でありまして、もちろん言うまでもなく3.11のような災害に加えて、良い面では科学技術がものすごく変化しています。ICTなどの急激な変化、多分、少々のことですぐ追い越されていくような形の変化が起きていまして、そういう中で我々の科学技術と国際政策との関係をどう整理するかというのは、この国際戦略委員会の重要な課題かと思っております。国際戦略委員会という戦略の名に恥じない審議をしたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。座ったままで失礼します。

それでは、続きまして、文部科学省の土屋科学技術・学術政策局長より一言御挨拶をお願いいたします。

【土屋局長】  担当の科学技術・学術政策局長の土屋でございます。まず、先生方におかれましては、大変御多忙の中、委員会の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございました。また、1回目の会合につきましても、大垣先生おっしゃるように、ものすごく暑い中、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

今、この委員会の開催、検討の意義、趣旨を大垣先生の方からお話がありましたが、全くそのとおりでございまして、我が国におきまして、科学技術の成果をベースにイノベーションを実現するというのは、安倍内閣の最重要課題の一つということになっておりますが、先ほど大垣先生がおっしゃられたように、世界が大変急激に変化する中で、我が国の取組は相当遅れているということで、このまま放置できない状況に本当になってしまったということでございます。

私どももそのように認識しておりまして、従来のいわゆる国際的な交流、インターナショナルな活動をやっていれば良いという時代から、グローバルな中でどう研究ネットワークを戦略的に組んでいくかということを真剣に考え、それを実行していかなければ、我が国の生命線たる科学技術の振興等において、重大な影響、欠陥が生じるものというふうに思っております。したがって、これにつきまして、是非先生方の真剣な御議論をお願いし、我々それに沿って具体的な対策、政策を講じてまいりたいというふうに考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。よろしくお願いします。

【大垣主査】  土屋局長、ありがとうございました。

それでは、次の議題、科学技術・学術分野の国際戦略に移らせていただきます。

まず、事務局より、これまでの経緯や我が国の現状等について、資料3から資料6を用いて説明をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

【長野戦略官】  それでは、お手元の資料3より順に概要を御説明申し上げたいと思います。まず、資料3につきまして、これは本年6月21日の報道発表資料でございます国際研究交流の概況ということで、この調査は毎年、我が国の国公私立大学、高専、それから独立行政法人等と諸外国との年間の交流、すなわち研究者の派遣受入れを基にしながら、それらの状況を把握して、基礎資料としていくということを目的として実施してございます。このたびの発表は、平成23年度の実績ということでまとめてございます。

概要でございますけれども、まず、全体として海外からの受入れ研究者の数につきましては、ページが振ってあります2ページ目のグラフを一緒に見ていただければと思いますが、ここでは紺色で示す短期の受入れ研究者については、平成21年度以後減少にあるということで、それと、緑でございますけれども、中・長期の研究者は、平成12年度以降、おおむね同程度の水準で推移しているといったような状況になります。これについては、短期を中心に受入れ者数が減少した要因としては、東日本大震災の影響等が考えられると思っております。

ただ、平成23年度当時はその影響がかなりあったのでございますけれども、同時に大学の方にヒアリングも実施してございまして、そのヒアリングの状況を見ますと、本年の2月ごろには被災地にある大学においても受入れ状況はおおむね回復しているという回答が得られておりますので、平成23年度から相当程度回復しているというふうに把握してございます。

それから、次の海外への派遣研究者数でございますが、これは3ページ目のグラフを一緒に見ていただきたいんですけれども、紺色の短期の研究者数については増加傾向が見られると。それから、中・長期、緑色の方ですけれども、こちらの方は前年度からの増加の傾向は見られておりますけれども、さかのぼって最も派遣者数の多い平成12年度当時、この前後に比べると、未だ7割を下回る水準にあるというふうに見られます。

それから、もう少し詳細な分析で、機関別の研究者の交流ということで見ますと、4ページ目になりますが、これは大学の種別等で分けてございますけれども、ここで見ますと、まず、4ページ目の短期の受入れ研究者では、特に最もパイの多い国立大学での減少が短期の全体の受入れ研究者数の減少要因となっているというふうに見られます。それから、中・長期の受入れ研究者については、5ページ目にございまして、特に国立大学と比べて私立大学、独立行政法人等での受入れ研究者の減少が顕著であるというふうに見られます。

それから、最後、地域別の研究者の交流の状況ですけれども、7ページ目以降でございますが、地域別で見たときに、地域別の受入れ研究者数、これは短期、中・長期とも地域にそれぞれ、いろいろな傾向がございますけれども、全体で見れば、地域によっての大きな傾向の差はないように見られます。

それから、8ページ以降の地域別の派遣の研究者数で見た場合も、グラフは9ページにございますけれども、全体の傾向で言えば、地域によっての傾向の差はないのではないかというふうに見られます。

以上が研究者の派遣受入れの全体の状況でございます。

次に、資料4でございますが、こちらは前期、第六期の科学技術・学術審議会国際委員会でおまとめいただきました報告書の簡単な概要をまとめたものでございます。第六期におきましては、特に第四期の科学技術基本計画、それから東日本大震災の影響等を踏まえつつ、特に国際活動の現状というのを確認しながら取り組むべき重点事項を明らかにして、具体的方策を御検討いただいたという位置付けと認識してございます。

おまとめいただいた内容のざっくりした概要でございますけれども、ポンチ絵の2ページ目をおめくりいただきますと、柱としては、一つ目の柱に、相手国に応じた重層的な協力ということで基本的な考え方を示した上で、今後取り組むべき重点事項としてはe-ASIA、アジア地域でのマルチの共同研究プログラムを着実に推進すること。それから、科学技術とODAの協力によるSATREPSという事業の社会実装に向けた取組を推進すること、こういったことがうたわれております。

それから、2番目の柱は人材・研究ネットワークの強化ですけれども、これは研究者交流を通じて、人材・研究ネットワーク上の重要なハブに日本を位置付けていくという基本的な考え方を示していく中で、取り組むべき重点事項としては、研究者の中・長期海外派遣の推進。それから、優れた海外研究機関との研究領域、それぞれの特性を踏まえた人材・研究ネットワークの構築。それから、海外研究者との共著論文作成等を研究実績として積極的に評価すること、こういったことが提言されてございます。

それから、3番目の柱ですけれども、これは科学技術国際活動を展開するための周辺環境の整備ということで、基本的な考え方としては、科学技術活動を国際的に展開して海外の優れた人材を引き付け、イノベーションにつながる新たな知を生み出していくため、政策対話の推進、海外情報の活用、基礎研究強化のための基盤整備等、そういったような周辺環境の整備というのを着実に推進することが必須ということで、重点事項としてはいろいろございますけれども、若手研究者の海外経験を積極的に評価する。研究支援事業の英語による申請対応の促進。海外在住の日本人研究者に対する支援。4番目に、災害に強い情報伝達体制の構築。科学技術国際活動の戦略的推進のためのデータベースの活用。それから、大学院における外国人教員受入れに資する取組の推進ということでおまとめいただいているところでございます。

次に、資料5になりますけれども、これに関しましては、前期、第六期の科学技術・学術審議会で「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」ということで建議をおまとめいただいているところでございます。ここで指摘されている事項は非常に根本的なことが多くございまして、さらに実効性のある施策が立案されることが必要であるという認識になってございます。こういったことから、今期、第七期の総会をはじめ、各委員会において、この建議の指摘事項を踏まえながら、我が国の研究開発力の抜本的強化のために方針を定め、その方針に基づいて具体的方策を検討するということで、基本的な方針がこちらの方で、4月の科学技術・学術審議会本会議で決定されてございます。

大きな柱としては、一つ目が若手、女性、外国人の積極的登用。二つ目の大きな柱としては、2ページにあります研究の質及び生産性の向上、新規性の高い研究の推進。それから、最後3番目の柱としては、世界最高水準の運営や人材育成システムを目指した改革ということになってございます。これが全体でございますけれども、いろいろなところで国際的な観点が入ってございますけれども、特に本委員会で御議論いただくにあたって関係が深いところを御紹介申し上げますと、一つ目の柱の若手、女性、外国人の積極的登用の中で、まず、若手研究者等の活躍の場の創出と独立促進というところに全部で7つの項目がございますけれども、まず、4番目の項目に、優れた若手、女性、外国人が、労働力として使われるのではなく、研究を自ら主導するといったファンディング等の推進をすること。それから、最後7番目にございますけれども、若手研究者の中・長期の海外派遣を支援するため、海外での研究者ネットワーク化や帰国後の就職等環境整備を推進することということが指摘されてございます。ここに書いてございます項目は、第六期前期の国際委員会でも同様な御指摘があるところかと思います。

それからもう一つの柱、(2)として、国際的頭脳循環への対応ということで、国内外の優秀な研究者の確保、育成。特に年俸制導入促進など年功序列的な給与体系の見直し等によるグローバル化対応。もう一つ目の柱としては、先進国のみならず新興国との頭脳循環も想定した戦略的な国際研究機関・大学間ネットワーク構築ということになってございます。

以上、簡単ですが、資料5の御紹介を終わります。

それから、資料6ですけれども、これは一応御参考にということでお示ししているものでございます。これは内閣府の総合科学技術会議の方で科学技術外交戦略タスクフォースが設置されてございまして、そちらの方での以前の議論の中で、各府省の科学技術外交関係施策についてどういう施策があるかというものをまとめた表になったものでございます。ただ、これは以前の検討の際におまとめされたものでございますので、各施策としては、平成24年度までの実績になってございますが、このままこれを今後の議論に御活用いただくということではないかもしれませんけれども、前の基礎的なものとしてご覧になっていただければというふうに思います。

ここまで現状の御説明を申し上げました。

【大垣主査】  現状に関する説明、どうもありがとうございました。この後、引き続き事務局より我が国の国際戦略に関する課題などについて説明をいただこうと考えておりますけれども、その前に、今までの資料3から6までの説明内容に関しまして、御質問、あるいは御確認したい点等ありましたら、そういうことに限って御審議いただきたいと思いますが、御質問、あるいは確認等ございますでしょうか。いかなる点でも、どの資料でも結構ですが、いかがでしょうか。

はい、どうぞ。

【山田委員】  すみません、聞き逃したと思うんですけれども、一番最後に説明いただいたタスクフォースというのはどういう組織だったのでしょうか。

【長野戦略官】  タスクフォースというのは、総合科学技術会議の方の組織でございまして、分科会的な形で、専ら科学技術外交について戦略を立てるために、こういった委員会と同様に、委員の方たちに集まっていただいて御議論された委員会です。ちなみに、タスクフォースにつきましては、国際戦略委員会の委員でいらっしゃいます白石先生が、当時総合科学技術会議の委員として、こちらのタスクフォースを主導されていたということになっております。

【山田委員】  ありがとうございました。

【大垣主査】  よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

よろしいですか。

それでは、ないようですので、引き続き事務局より資料7について説明をお願いいたします。

【長野戦略官】  それでは、お手元の資料7、「科学技術・学術活動の国際戦略の検討にあたっての現状認識及び主な課題について(たたき台)」ということで、私ども事務局の方でまずはまとめてみておるものでございます。大きな柱として二つに分けてまとめてみてございます。一つ目の柱、グローバル社会におけるボーダーレスな科学技術・学術活動ということで、それに関する現状認識、これは当然のことで御案内のことでございますけれども、一応事務局なりに文章に落としてみたというものです。

科学技術・学術は、元来、国境を越えて拡散し、また国境を越えて集積するという、二つの指向が相互に作用しながら、ボーダーレスに進展する。先進国や新興国の多くでは、頭脳循環ともいうべき人の交流や、知の交流を通じて、新たな価値の創造につながる科学技術・学術活動が行われている。

なお、国境を越えた拡散、集積というのは、以下のようなものが挙げられるということで具体的な例を挙げてございます。例えば、拡散については、技術貿易拡大、海外への特許出願、研究開発拠点の国際展開及びネットワーク化、研究者交流の活発化等あるかと思います。

それから、集積の方については、例えばクラスターですとか、大規模研究拠点、知財政策、優秀な外国人研究者の受入れ促進というものが挙げられるかと思います。これは例示でございます。

それから、それら現状認識の中で主な課題として挙げさせていただいておりますのは、まず、グローバル社会において、科学技術・学術がボーダーレスに進展する中、我が国の国際戦略として、重視すべき点、あるいはこれまでの取組で欠けてきた点は何であろうかということ。それから、ほかの先進国や新興国の情勢を踏まえながら、我が国の強みを活かして、科学技術・学術を振興していく、又はイノベーションにつなげていく。そういった中で関係施策の制度設計に当たって、どのような視点を重視、あるいは留意すべきであろうか。こういったことを課題として挙げさせていただいております。

それから、二つ目の柱でございます。2ページ目になりますけれども、科学技術外交と科学技術活動ということで、現状認識として、科学技術イノベーションの発展を図る上で、科学技術と外交を連携させて、いわゆる「科学技術外交」として戦略的に政策手段を講じることが、我が国の国益を増大させる観点から有効と考えられておるところでございます。ここで科学技術外交としては、科学技術外交とひとくくりでよく用いられておりますけれども、それを分解してみますと、一つ目として、国家の安全、政治外交的なもの、それから国富の増長、経済外交的なもの、三つ目に信頼の醸成、広報文化外交的なものと、そういったものになるかと思いますけれども、そういった外交において科学技術イノベーションやその成果を活用することが期待されているのではないか。

また、外交と連携させつつ、国際的な研究ネットワークを構築、あるいは参画、そしてネットワークの発展を図っていって、さらに、そのネットワークを戦略的に活用することで、我が国の科学技術イノベーションの一層の発展が期待されるだろうということを現状認識として書いてみてございます。

ここで主な課題ですけれども、「科学技術外交」として科学技術と外交を積極的に連携させるといった観点から見ると、科学技術に関する国際戦略を設計していくと、改めてその立場に立ったときに重視すべき点というのはどういったものになるのだろうか。こういったことで課題分けさせていただいております。

本日、たたき台として、まず、いろいろな御指摘があろうかと思いますけれども、出させていただきました。こういったもの、また、これとは全く違う視点も含めて、先生方には御議論いただきたいと思ってございますが、今後、ここで少し申し上げておきますと、本日の御議論ですとか、あるいは今後、本委員会で御議論いただいていく内容につきましては、例えば、私どもが現在実施している事業の運営ですとか、今後、概算要求等していく施策の検討の際の指針とさせていただくということ、あるいは具体の案件に関しての御助言をいただくということを念頭に御議論いただきたいというふうに事務局としては考えております。

また、中・長期的には、次期、第五期の科学技術基本計画の検討が来年以降始まるかと思いますので、その検討に当たって、是非先生方の御意見を賜って活用させていただきたいというふうに考えております。

以上でございます。

【大垣主査】  どうも御苦労さまでした。

それでは、ただいま事務局より説明のあった内容を踏まえた上で、科学技術・学術分野の活動の国際戦略に関し、今後、本委員会において検討すべき課題について御議論いただきたいと思います。なお、今回は特に資料7を踏まえながら、現状認識や課題について自由に御意見を賜りたいと思っておりますが、その内容に関しまして、そのほかの内容、どのような点でも結構でございます。第1回ですので、御意見がありましたら、御発言をいただきたいと思います。

それでは、御自由に御発言といいますか、審議を始めたいと思いますが、何かコメント等ございましたら。どうぞ。

【松見委員】  松見ですが、御説明をお聞きして沢山意見があるのですが、余りお時間をとってもいけないので、2点、最大3点に絞り、できるだけ簡潔に申し上げます。少し過激な発言に聞こえるかもしれませんが、私は企業から来ているのですが、産業界におきましては、とてつもないグローバルコンペティションが熾烈化しています。その中で、企業として生きていくためにどういうことをやっているかというと、一つは海外との提携を行う。いろいろな形、いろいろな分野ですが、要は提携、パートナーシップ、あるいはアライアンス、ジョイントベンチャーを海外の企業ともつくる。それから当然、M&Aがございます。企業買収、それから合併。いろいろな形の国際戦略を通じて、企業の生存をグローバルベースで図らねば生きていけない時代に来ているということです。

それは、少し過激に聞こえるかもしれませんが、分野こそ違え、日本の大学についても言えるのではないかという点です。大学は基礎研究を中心に、日本の発展にとって極めて重要であることは論をまたないわけですが、大学においても、海外との提携、合併、買収その他、企業が産業界でやっているような、真剣に生き延びていくためにやっていることを、もう少し大学、教育の分野でも当然やるべきではないかなと思います。細かい話は、今は抜きにさせていただきますが、そういうことを考えるべきじゃないでしょうか。即ち、企業の場合は、最後は時価総額が国際的に何位かということになりますが、残念ながら日本の企業で今世界トップ30に入っているのはゼロでございます。それぐらい、今日本企業の国際競争力が落ちてきているのですが、同様に、例えば世界大学ランキングで何位ですかということになると思います。これは皆さん御承知の通りです。やはり大学も企業も国際競争に勝っていかないと国が発展しませんので、ここらはもう少し厳しい真剣な議論が必要ではないかと思うのが第1点でございます。

第2点は、これは恐らく先生方は全部お読みのことと思いますが、アメリカのPCASTの報告書で、一番最近私が読んだものは去年の11月、比較的新しい大統領宛の報告書でございます。その報告書の中でも、「研究機関の将来」というテーマで、120ページ弱の報告書だったんですが、いろいろな示唆がございまして、その中で書かれていることは、リサーチ大学を今後どうするのだという点です。アメリカは我々と比べれば、とてつもない多様性に富んで、しかも研究も進んでいる、そのアメリカでさえ、政府と大学がどうやってもっと世界のタレント、優秀な頭脳を集めるかということで非常に真剣に議論して、その報告書が出されているのを読みまして、我々日本人はもっと、アメリカの真似をする訳ではないのですが、その真剣さというのは我々の国でもやるべきではないかなと思いました。即ち、世界中の優秀な学生を取り込む! 企業でも研究開発を日本人だけでやっていたのでは勝てない可能性が今大きい訳ですから、どうやって世界中のタレントを、優秀な人を集めるかだと思います。そのためには、魅力的な日本でないと海外からは来ません。現実、皆さん御存じの通りでございます。70年、80年代の日本は、アメリカ人だって必死に日本語を勉強しようとした訳ですが、それぐらい日本に魅力があって、日本に来たい、日本と組もうとした。そういうような状態を取り戻さないと、いろいろ政策を書いても動かないと思いますので、このPCASTの件を是非御参考にしていただければということで、とりあえず今2点だけ指摘させていただきます。

【大垣主査】  ありがとうございます。ほかには。事務局から特にコメントはいいですね。

ほかにいかがでしょうか。大変な重要な論点が出されましたけれども。どうぞ。

【有信委員】  前期の国際委員会の報告の中に三つ確かありましたよね。重層的な協力とネットワークの強化、それから周辺環境整備。今、松見委員からも話がありましたけれども、実際にこういうことをきちんと進めていこうと思うと、一番重要なところで抜けやすいのは環境整備ということだと思うんです。はっきり言って、戦略的に優秀な人材を日本に呼ぼうとしても、まず、給料が安くて呼べないということを大学の先生たちは言う。これは環境整備すれば、それは可能になる手立てがあるわけで、そういうことをきちんと整備をしていく必要がある。

例えば、今議論されているような年俸制を導入する。それから今の国家公務員の定員の在り方、つまり、国立大学法人の定員に対する縛りだとか、そういうことを含めて周辺環境として日本の国際化を遅らせている。大学の先生は自分の研究をやっていれば良いので、余計なことはできるだけやりたくない。だから、ちょっとでも障害があれば、それはすぐやれない理由になるわけです。ですから、むしろ環境整備のところをきちんとできるように後押しをしていく。様々な制約のようなものをできるだけ取っ払う必要がある。

でも、これはすごく難しい話で、今議論されているように、大学教員の給与を全部年俸制にするとか、今の退職金を全部国立大学法人に持っていって、退職積立てが可能になるようにして、なおかつ年俸制を導入すれば、給与水準のフレキシビリティーというのはものすごく上がるわけです。それが学長の裁量でできるようになれば、優秀な人たちを相対的に高給で呼ぶということも可能になる。これは一つの具体的な例ですけれども、そういう様々な障害になっている環境整備を少し議論をした上で、全てを一度にというわけにはいかないと思いますけれども、重要なところから手をつけていくということを戦略的にやるべきだろうと思っています。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。

【松見委員】  2点なのですが、一つは科学技術外交、これは白石先生とか角南先生が一番お強い分野ですが、科学技術外交だけを取り上げてどうするのかではなくて、日本全体の国の政治とも密接に絡む問題だけに広く考える必要があると思います。アジア、それからどんどん伸びていくアフリカ諸国、新興諸国向けに、JSTとJICAが中心になって今のSATREPSのような科学技術外交を進めていくということが重要であるのは論をまたないし、また、アメリカのNSFとUSAIDも日本のSATREPSを極めて高く評価しています。

さてと、日本は本当に、例えばアジアを例にとりますと、日本が中心になって科学技術外交を進めていくのですか。アメリカとは全く協調もなしにやっていくのですかという、そういう外交全般の問題と科学技術外交とが密接に結びつくと思いますので、俯瞰的にといいますか、包括的に捉えて、科学技術外交を日本としてどういうふうにしてやっていくのだということを、もう少し議論を詰める必要があるのではないかというのが意見でございます。

それから、同じくSATREPSも、私も委員をやっているのですが、ちまちまなものが多いですね。言葉が悪いですが、小粒が多すぎるのです。これも当然、発展途上国側にとって重要だというのであれば、それに応えるのが大きな目的の一つなので、別に小粒なものが多いということを批判じゃなくて、それはそれでいいのですが、しかし、他方、戦略的にどういう大きな仕掛けを、科学技術外交を通じて日本としてやっていくのだということがあると思います。昔のケネディ政権のアポロ計画のようなものを打ち立てていかないと、いわゆるイノベーションで言いますとインクリメンタルだけではもう勝てないというふうに、アメリカのいろいろな人が指摘するぐらいで、どうやってブレイクスルーイノベーションをやっていくのか、日本として。それは科学技術外交、あるいはSATREPSにも、あるいはJICAのプログラムにも当てはまるなということを非常に感じるものですから、どうやって小粒なものをいろいろやっていくとともに、もう少し、言葉が抽象的で申し訳ございませんが、戦略的、国家的な仕掛けも必要だということを指摘させていただきたいと思います。 以上です。

【大垣主査】  ありがとうございます。

はい、どうぞ。

【土屋局長】  今、委員からの御指摘について、役所の方での状況を説明させていただきたいと思いますが、まず、有信委員から御指摘がありました環境整備のところは、もう何年も言われ続けている課題がほとんど解決できていない状況にはありますけれども、私どもとしては、今、自民党の政策調査会の中で研究開発力強化の議論がなされておりまして、その議論を踏まえた形で、研究開発力強化法改正ということで動いております。どこまでそこでできるか。なかなか難しいとは思うんですが、その法律改正を軸に、先ほど言われました処遇の問題でありますとか、いろいろなことについての解決を図っていきたいと思っておりますので、また次回以降、状況の報告をさせていただきたいというふうに思います。

それから、松見委員からの御指摘は全くごもっともなんですが、率直に申し上げて、実は我が国の国際場裡における科学技術活動のプレゼンスが著しく下がっております。また、その原因の一つが、予算が必ずしも十分じゃないというところもありますので、5年、10年前と今とは相当違うと。こういう現状における日本の立ち位置ということを考えて、どういうふうなところへ持てる限定されたリソースを投入するかというところが我々にとって非常に重要、関心事項であります。SATREPSも確かにどこの国とやっても大体評価されるんですが、ばらばらやっていたんじゃ、個々の効果はあったとしても、トータルな効果はなかなか出てこないと。

また、もう一つは、海外展開と国内の活動とのリンケージができていません。こういうあたり、予算が少ないというか、苦しさなんですが、少なくとも一度で二度ぐらいおいしいというようなことを少し工夫して考えないとうまくいかないんじゃないか。そういう問題意識を持っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【大垣主査】  松見委員、特によろしいですか。

はい、どうぞ。

【WIECZOREK氏】  そうですね。私から見ると、二つの点があると思いますけど、一つは政治的な点ですね。アポロ、グローバルインフラストラクチャー、ITERとか。政治的なことだと、日本の政府がどんなインプットをするか。日本へのアウトプットを本当にちゃんと評価しないといけないと思います。いろいろなリソースが入り組んで、アウトプットはそんなに大きくないかもしれないんですね。だから、今、資料7などを見ると、日本人の研究者がグローバル化のネットワークの中にはそんなに入っていないんですね。これが2番目です。

普通は研究者が、世界中でどこに立派な研究者がいるかとか、どこにすごく良いインフラストラクチャーがあるかによって動きます。どうして日本人の研究者がネットワークにそんなに入っていないかは調べなければならない。幾つかの理由があると思います。一つの理由は、マルチラテラルファンディングがすごく少ない点ですね、日本の場合は。ほかに国際交流の予算も少ないですが、特にマルチラテラルファンディングのための予算がすごく少ないです。余り経験もないですね。予算的な意味でもそうです。でも、グローバルインフラストラクチャー、アポロに、アメリカはすごくお金を出しました。インターナショナル・スペース・ステーションもそうですね。アメリカとロシアはお金をすごく入れこみました。日本もインターナショナル・スペース・ステーションには参加しなければならないと思いますけど、どのぐらいお金を出すかどうか。だから、インフラストラクチャーをつくるかとか、ブレインネットワーク、ブレインパワーをつくるか。この二つの大きな点があると思います。今まではブレインドレインという言葉を強く使っていましたけれども、ブレインサーキュレーションには入らないと、将来、日本は余り国際的にはならないと思います。だから、政府は何の支援ができるか、必要か、調べなければならない。多分、グローバルインフラストラクチャーを見ると、スイスがすごく強いんですね。だからCERNとか、幾つかの大きなグローバル研究所、本当にグローバル研究所を持っている国ですね。だからスイスが強く、そのネットワークには入っていますけど。日本を見ると、日本国内に「グローバル研究所」はまだないですね。WPIsやOISTのような、国際的に活躍している多くの研究機関が設立されていますが、ITERなどのような、「グローバルインフラストラクチャー研究機関」はありません。もし将来、何かグローバル研究所をつくることができれば、一つの良い戦略かもしれないですね。でも、その上にはネットワーク、ブレインパワーにつながるためには幾つかの戦略ができると思います。だからマルチラテラルファンディングが少しだけ上がるだけでは余り役に立たないんですね。だから、今できるだけ早めに、予算を何倍か上がる方が良いと私は思っています。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかに。どうぞ。

【高木委員】  大学同士の日本と海外の大学の提携というのは、最近よく行われているんですが、日本はある一つの有名大学に集中してしまうんです。例えば中国、科学系でいうと、精華大学に集中しているんですね。いろいろな分野を調べると、ほかの大学に良いところがあるのに、日本の多くの大学が1大学に集中するため、向こうが優位に立って選択してしまう。そういう状況が起きないように、提携をするときに、こういう分野はここの大学は良いなどの情報を例えば文部科学省なんかが提供してあげて、有利な提携に結びつくというようなこともあって良いんじゃないかと思います。

日韓で、ある工学系大学同士が10年間の研究交流をしていたんですが、研究者間の交流においては割と問題ないんですが、最近、言われている学生の気質ということで問題がある。韓国の学生が3か月ぐらい日本の大学に来て研究する。反対に日本の学生が韓国へ3か月ぐらい行って研究するという、そちらの方は、日本人学生が行きたがらないので、行く学生を見つけるのが大変だという話でした。韓国人学生は日本に来たがるので、バランスが悪いということです。このような若者が海外に出たがらないという気質も、グローバル化という中では今後問題になってくることではないかなと思います。

それから、研究の採択にも関係しているんですが、これは研究資金がある程度たくさんないと、なかなかおもしろい研究にお金を渡そうというふうにならないんです。限られた研究費の中では、安全でステップアップみたいな、そういう研究にお金が回るんです。これはおもしろいから、だめかもしれないけどちょっとやらせてみようかという冒険的なところに研究資金を渡そうかとは、ある程度研究資金がないと、そうはならない。ですので、先ほど研究資金ということをおっしゃいましたけれども、限られた予算の中では、おもしろいけれど成功確率の低いアイデアのところには、研究資金はいかない。ですので、多くの研究資金が今後の新しいアイデアというのを取り入れるためには必要だと思います。

それから、これは厚労省関係かもしれないけれども、治験が日本では非常にやりにくいということで、日本で出てきているシーズも結局海外での治験の方が早いということで、特にシンガポールなんかはすごく受入れ態勢がしっかりしているので、そこでやるということが多い。韓国の製薬会社の人なんかと話すと、日本は後回しだと。日本は非常に面倒くさいので、まずはヨーロッパとか、そういうところで取って、その後に日本だというようなことをおっしゃっていた。ゆえに治験なんかもやりやすい態勢をつくっていかないと、せっかく日本で出てきたものが海外で商品化されてしまう、という問題がある。

【大垣主査】  ありがとうございます。

どうぞ、白石委員。

【白石委員】  3点申し上げたいと思います。一つは、最初のボーダーレスな科学技術・学術活動のところですけれども、集積ということで考えるときには、重要なのは大学じゃなくて分野ですので、国際的に競争力があって、実績のある研究センターだとか何かというのはあるわけですね、現に。特に名前を申しませんけど、ぱっと考えただけでも理系でも文系でも三つ四つはぱっと思いつくと。そういう誰が見ても競争力のあるところにかなり集中的に資源を投入して、それで世界中からトップクラスのPh.D.を取ったポスドクだとか、あるいはテニュアトラックのアシスタントプロフェッサーのような人を、今の日本の労働契約法では5年しかだめですけども、集めてくると。そういう人たちが、その後また、もちろん日本に残ってくれてもいいけれども、その後、いろいろな大学、外国の大学や何かで素晴らしいキャリアを創っていくということが、逆にそういうところが将来世界的に認められることになるので、かなり絞り込んでやるというのが重要だろうと。

それから、2点目は、科学技術外交で、これは私、4年ほど内閣府でやって、頭の整理で申しますと、科学技術外交というのは、実は外交のための科学技術と、科学技術のための外交という両方あって、やっぱり外交のための科学技術というのは、これは外務省の所管でございまして、あちらがやる気にならないとなかなか進まない。ところが、どうも兼任みたいな人が科学技術大使とか何とかということになるのが多くて、非常に私としてはフラストレーションばかりたまって余り頼りにならないというのが、実は正直なところでございます。

それに対して、科学技術のための外交というのは、これはまさに文部科学省としてできることですので、むしろそちらの方に焦点を合わせた方がいいんじゃないかと。そのときの基本的な考え方というのは、外部資源の内部化というキーワードを私作ったことがありますけども、非常に単純に申しますと、先ほどの話と同じなんですけれども、国内で国際的に非常に競争力のある研究グループが国際的に展開するところに資源を投入するというのと、それからGMOや何かが良い例ですけれども、日本ではなかなかできないことをむしろ外国の研究者のチームと一緒にやると。そういうところで資源を投入するというのが基本的な考え方ではないだろうかと思います。

それから、3番目に、これはお願いですが、我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針。これ、さっと今見たんですけれども、非常に良くできているんですね。これはごもっともで、こういうことを全部やっていただければ、この委員会はもう要らないんじゃないかという気もいたしますが、お願いは、個別の施策のレベルで何をやっておられて、実務者サイドから見て、どこが足りないのか。何がネックになっているのかということを1回是非整理して教えていただけると、我々の方でももう少しいろんなサジェスチョンができるのではないかと思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。

今の3番目の基本方針のネックの整理といいますか、その辺は事務局としては。

【白石委員】  にわかには多分大変だろうと思うんですけども。

【土屋局長】  今年の4月22日に科学技術・学術審議会で決定していただいたんですが、これは、先ほど長野室長から御説明させていただきましたが、大震災があった後、ずっと議論をして、震災における科学技術についての問題点を全部洗い出して、それで今後取り組むべき課題という、そういう整理をしたものです。したがって、2年強、相当インテンシブに議論したものなので、我々としては非常に課題がシャープに整理されたというふうに思います。

それで、全ての問題について、一応全部取組を開始しておりまして、先ほど申し上げたような法律改正でありますとか、あるいは高木先生からハイリスク研究のお話がありましたが、これも2ページの2.の(1)に書いてありますが、これについては25年度の予算でも既に開始しておりますし、来年度相当強化を行うと。かつ、ハイリスク研究については、評価の方法も従来方法の特に論文主義に基づくような評価はやめて、チャレンジのようなことを評価できるような形に評価指針等も改定を行っているところでございまして、多様な課題がたくさんありますが、全てについての取組を開始いたしました。

また、中教審との連携で取組が必要となりますが、特に5ページの3.の(2)の人材育成システムのところは、中教審との連絡調整というか、合同の検討会を設けて議論をスタートさせていただいております。また、ポイント、ポイントで御説明をさせていただきたいと思います。

それから、発言させていただいたので、ついでで恐縮ですが、先ほど白石先生からお話がありました、日本がポテンシャルが高い研究拠点のところですが、最も典型的な例はWPIだと思います。今年度スタートしましたものを含めて、全部で9拠点あります。WPI拠点の要件は、外国籍の研究者が3割以上ということでスタートしておりますが、現状におきまして、村山先生がリーダーになっていただいている数物機構では50%以上ということで非常に効果が高くなっておりますので、その方式は極めて有効ではないかと思うんですが、どの分野をどう設定して次やっていったらいいかというところは、もう一つポテンシャルに加えて、その後のいろいろな展開だとか、国内的な波及効果であるとか、そういったところを考えることが必要かなというふうに思っているところでございます。

以上です。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかには御意見はいかがでしょうか。どうぞ。

【浦辺委員】  私はずっと理学部にいた者ですけれども、基本的には論文数というのは、掛けたお金と働いた人の積でほぼ表されるということで、そういうあれが減っているというのは、どちらかが減っている。今の大学の場合ですと両方減っていると。それが如実に出てきているのかなというふうに思います。

それで、特に大学によってすごく差がありますけれども、ほとんどの大学は、今いろいろな文科省の政策の中で、何とか生き延びていきたいということに、どこの学長さんもほとんどの関心を集中しておられるというところではないかと思います。地方の大学へ行けば、地方の大学で、今COC、センター・オブ・コミュニティであるとか、地方イノベーション、地方拠点生成というふうな形の政策が2003年ぐらいから連続的に出ていて、中央の大学はそれなりにイノベーション、今日お話をしているような、もっと集中的なものというふうなことになりますけれども、地方に行けば、それはうちの大学には無理だから、地方イノベーション、地方拠点というふうな予算をとっていきましょうとなります。それで何とか特色を出してやっていくという状況です。

ここの場では、要するに将来計画を立てていくわけですけれども、いろいろな意味で大学が出している中期目標等を見ても、いかに生き延びるかばかりです。ほとんどみんなが考えていることは生き残りということですね。これは、もう少し広い意味では、人間を含めて全ての種が生き残るというのは、多様性を守るという、そういう広い意味の生き残りから、国として生き残りましょうという段階になります。それがアメリカを中心として起こっているイノベーション政策的なことで、アメリカからそのような政策が2004年ぐらいに出てくると、それを日本でもまねをして、日本もイノベーションをやっていきましょうという提言が続々と出てきて、日本がこういう中で生き延びていきましょうという形で、多くの政策なり提言なりが「生き残り」というキーワードのもとに出されていくので、どうもなかなか、今、高木委員ほかがおっしゃったような、先を見て何かやるという余裕がなかなかなくなってきているのかなと、私としては心配に思っています。

その中で、松見委員も言われましたけれども、やはり大学がやらねばという形でムチでお尻をたたくわけですけれども、それが積極的で良い考えだからやっていきましょうということになるかというと、どうもそうならなくて、それが政策レベルに落ちていくと、おたくの大学は全然対応ができていませんねとなる。こういうのだと予算が減りますよ、出ませんよというふうな形になる。今までは地方の大学であれば、じっと待っていれば、次々に設備もできる。ずっと申請を出していれば、学部も増える、学科も増えるということがあったのが、今、予算が集中するので全く増えないどころかどんどん減っていく。人も減っていく、学生も減っていく。その中で何か言われると、なかなか研究に時間が費やせなくなっている。会議、会議の連続になっていって、本当に朝から晩まで会議していると。それではなかなか成果も出ないし、論文も出ないというのが実情かなという気がします。ですので、現実とそういうものを併せて、何か本当に実効性のある計画が出せればいいなというふうに思っています。

【大垣主査】  ありがとうございます。

はい、どうぞ。

【山田委員】  ありがとうございます。国全体の話をしなければいけないと思うんですけれども、私も大学から参りましたので、とりあえず大学について一言申し上げたいと思います。今、お話があったとおりでありまして、大学は大変に悩んでいるところであるというのを一言申し上げたいと思います。

私は、国立大学から来ていますけれども、もちろん私が国立大学の立場を代表することはできません。一橋大学は社会科学のみ4学部あるだけでして、自然科学は学部がありません。また、1学年1,000人と非常に小規模ですので、そういう中で競争力をどうやって高めていくかというのを盛んに模索しているところであります。私自身は昨年から学長、副学長の補佐としまして、海外の大学との連携のための交渉などを担当しております。

実はここまでで指摘されてきたような大学に求められる課題というのは、どこの大学もそうだと思いますが、既に盛んに議論しているところだと思います。海外の大学との提携、例えばダブルディグリー制度をどうするかですとか、あるいは留学生を受け入れる、あるいはこちらから送り出す。それから若手を支援する。また、女性を登用しよう。それから世界トップクラスの研究者を何とか呼び込みたい。世界ランキングを向上させたい。研究ネットワークを作っていきたい。こういうのは毎日やる会議で何度も聞いておるところでありまして、また、そのための財源というのも、文部科学省をはじめとして各種あるように思います。実際、募集要項がたくさんあり過ぎて、読むだけで大変という、そのくらいではないかと思うんですね。

9月入学制にしようという、この案も国際競争力を強めようという、その一環であろうと思います。何が言いたいかといいますと、問題はきちんと認識し、盛んに議論しているんですけれども、つまり、正しい方向を向いているように思うんですけれども、なかなか先に進んでいかないという、ここが一番問題ではないかと思います。スピードが遅いということになるんじゃないかと思います。それはどうしてなんだろうか。予算がないからであるのか。あるいは予算をとるための財源はありそうだけれども、その財源を取るための作業が余りにも膨大であるからなのか。または大学という組織が本来動きが遅いからなのか。大学自身はそういった点を含めていろいろ悩んでいるところでありますので、外から見たときに、大学の問題がどういうふうに見えているのかというような点は是非伺いたいと思っておるところです。

【大垣主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【有信委員】  何か話を伺っていると、いろいろな問題が錯綜してきています。さっき白石委員が言われたように、大学の問題というのは、大学の問題としてある。それから、こういう国際戦略をやるときの目的をもう少し構造的に考えないといけないかなという気がしたのは、もちろん大学の国際交流という、いわばベースの部分での国際的な交流をサポートし、強化していくというのは必要なんですけど、もう一つ考えなければいけないのは、研究という観点で、何のために国際戦略をやるかということ。さっき生き残りという意味がありましたけれども、日本の国力、日本としての立ち位置をどう強化していくかという観点で考えたときに、ちょっと切り口は違うんですけど、昨日たまたまDARPAの人の話を聞いていたところでは、DARPAは基本的には、アドバンストリサーチはやるけれども、ベーシックサイエンスはやらないという切り分けをやっている。

大学は基本的にはベーシックサイエンスをやるところで、アドバンストリサーチをやっているところというのは、さっき白石委員が言われたように、例えば幾つかの拠点があるわけですよね。WPIはベースシックサイエンスとアドバンストリサーチとがいわば一体となっているような部分だし、あるいは例えばSPring-8のような施設は、CERNまではいかないけれども、そこにいっぱい海外から研究者が来て協働で研究している中で、いわばアドバンストリサーチとしてイノベーションの芽になるようなものがそこから出てきつつある部分もある。こういう部分を、むしろ構造的にどうやって強化していって、その中で国際的な協働を強化していく。その結果のスピルオーバーしたものが日本の国内で花開くためには何が必要か。これも昨日たまたま聞いた、DARPAのような組織が成功するための必要条件として言われていたのは、イノベーションのためのインフラストラクチャーが周りになければいけないということなんですね。そういう部分のインフラストラクチャーをきちんと整備をしていくということ、大学のベーシックサイエンスのレベルで国際的な交流を図るときに打つべき手と、アドバンストリサーチのようなところでこれの結果を日本で結実させるということを強化していくということと両面でやっていくようなことを含めて、まだ十分整理はできていないんだけど、もうちょっと構造的に考えていく必要があるような気がします。

【大垣主査】  ありがとうございました。

【松見委員】  今のは非常に重要な御指摘で、それと関連して、先ほどのPCASTの大統領宛の報告書の中には、実は、結論からいきますと、大学はベーシックリサーチのみならず、アーリー・アプライド・リサーチもやってもらわないと困る時代に来ているというのがポイントなんですね。すなわち、民間企業にとっては、本当にグローバル競争で大変だし、ステークホルダーのいろいろな圧力、要求が増大していますので、企業はアーリー・アプライド・リサーチをする余裕がアメリカの場合なくなってきていると。それを大学にますます求めつつある。したがって、いわゆるイノベーションエコシステムのハブの役割は大学にしてもらわないと困るという報告書で、当然、そのために米国政府としてもいろいろ支援する。具体的には、例えばSTEM教育を学部にまで取り込んでもらわないと、イノベーションエコシステムのハブの役割を大学は果たせないですよという細かい指摘までして、要は国を挙げて、大学にイノベーションエコシステムのハブの役割を果たしてもらおうということなので、今、有信委員がおっしゃったように、DARPAはアドバンスト・アプライド・リサーチ、アドバンストリサーチをやって、その後、民間企業にバトンタッチして見事に、例えば携帯のSIRIのようにベンチャー化までして、スティーブジョブスがそれを多額な資金を持って買いに来たというふうなある意味で美しい流れがあるのです。大学の方にはそういうことでブレイクスルーを生み出す可能性のあるベーシックリサーチは当然やってもらうとともに、少しでもマーケットに近いこともやってもらう時代なんだということを指摘しているものです。この点、我々日本はイノベーションとの関連で、大学での研究をどういうふうに位置付けているのか、今日お聞きした限りでは必ずしも明確になっていないと思われますので、その議論があるのかどうかにも興味があって指摘させていただきました。

【大垣主査】  どうぞ。

【角南委員】  DARPAの話が少し出ましたが、御存じのとおり、スプートニクショックがあって以来、とにかくアメリカは、国家の存続として常に科学技術のフロンティアに自国を位置付け、その地位を守ることがある意味でアメリカのサバイバルである。それがアメリカの国家戦略の中にずっとそういうものが残っている。我が国においては、国家の存続のためにサイエンスのフロンティアに日本が立つことが必要なんだということを、どれぐらい一般に共有されているのか。

だから、結局、成果があるものがやるべきサイエンスだとなったときに、国家の存続としてまず世界でトップにいるということの目標が余りにも明確に出てこないものですから、結局は経済的価値とか、競争力という観点で常に議論が進んでいます。今回、国際委員会から「戦略」という言葉が入ったので、ずっと日本がこれからサイエンスのフロンティアに立つことが非常に重要だという認識を共有することです。アジアでも既に日本に迫るぐらい科学技術のレベルを伸ばしている国も出てきているわけですから、そういう中で我々の国家戦略があるわけです。

だから、戦略という言葉が入ったというのは分かるんですが、どうやってこの戦略を打ち出していくかということも非常に重要で、そのための仕組みということも同時に考えないといけないと感じました。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかにはいかがですか。

【WIECZOREK氏】  一言だけなんですけど、そのとおりですね。まず、戦略の前にはビジョンが必要ですね。だから国際戦略委員会のビジョンは何でしょうか。そのビジョンから戦略をつくって、紙の上からどういうふうに実際に、今、日本の方には国際化のためにつくるかが非常に大切です。みんな自分の意見は出しますけど、でも全部はできないと思います。だからビジョンと戦略とプライオリティーが非常に大切ですね。

【大垣主査】  ビジョンですね。

【WIECZOREK氏】  まず、ビジョン。でもどんなビジョンでしょうか。アポロはちょっと別にして、グローバル化の中でのビジョン、そして、もちろん文部

科学省のビジョンと国際戦略委員会のビジョンを明確にする必要があると思います。

【大垣主査】  松見さんは、いいですか。

【松見委員】  角南委員の御意見のフォローアップなのですが、非常に重要な御指摘だと思うのです。先ほど山田委員もおっしゃったように、ほぼ完璧なビューティフルな政策があるわけです。しかし、何も起こらないのが日本でありまして、それは先ほど角南委員が御指摘されたことと大いに関係していると思います。

企業の例を御参考になると思ってお出ししたいのですが、例えば私は、総合商社で先端技術を担当していたころ、いろいろなベンチャー投資をやったわけです。薬、ドラッグ・ディスカバリー・アンド・デベロップメント分野でもベンチャーに投資をしました。しかし全然成功しない。損ばかりしていました。トータルで、例えば11億円の赤字だった。赤字の場合は、社長以下、いつまで何をやっているのだということになる。先端科学技術ビジネスで商社が利益を出せるのかと言わんばかりに冷たい目で見られていた。ところが、とうとう投資したあるベンチャーが上場して、20億円強の利益が出た、そして累計で10億円くらいの黒字。そうなると、トップは、あれっ、先端技術投資も重要なんだということになり、会社の空気が変わるのですね。やはり、今申し上げたような具体的成功事例、これを作ることあるのみだということになります。

日本として何をやるかについては、何十年にわたって議論されているわけでありまして、幾らグローバリゼーション云々の変化はあるものの、日本がやるべきことは、優秀な方々によってきれいに書かれていると思います。あとは、どなたかおっしゃったように、文部科学省以外の方、政治家の方、官僚の方、大学関係者、産業界関係者、あるいは一般国民も含めて、やっぱり日本にとっては科学技術が重要なんだ、そしてイノベーションをどうやって起こしていけるんだということをみんなが分かるような具体的成功事例をとにかく作ることだと思います。例えば、日本が強い強いものをより支援して実現させる。それから、成功の可能性のあると思われる、例えば今のiPSもそうかもしれませんが、重点的に、それこそ国を挙げて支援、バックアップして、やはり成功事例をつくっていくことによって、こういうビューティフルな政策がより生きてくる、また動き出すというふうに思いますので、企業でもよく似た状況なんですということも含めて、今お話しさせていただきました。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかには。はい、どうぞ。

【高木委員】  もともとは経済産業省の方では実用化研究、文部科学省の方では基礎研究という区切りがあったわけですけれども、時代の流れとともに、文部科学省の方でも実用化研究というのに資金を出すようになった。そうすると、民主党政権のときは、経産省と文科省が同じことをやっているんじゃないかと、仕分けの対象になったりとかいうことがあった。経産省の方でバイオ系の研究をしていても、これは動物実験までと。それ以上になると、ヒトになるので厚労省関係。そういう研究の区切りがあり、なかなか一つの研究を一つの資金でやっていくというのが難しい。それをどのように取り仕切っていこうとしているのか。各省で区切られた細切れの研究というか、なかなか一本になっていかない研究になるのではないか。だから資金をスムーズに流れるようにする議論も必要なのではないかなと思う。

【大垣主査】  ありがとうございました。

ほかにはよろしいですか。はい、どうぞ。

【山田委員】  今日の資料で拝見して、キーワードになっている科学技術外交なんですけれども、委員会では共有されている言葉であるかもしれませんが、外に対してはもうちょっと説明する必要があるのではないかという気がしています。科学技術白書でこの言葉を見つけたときに、大学の国際政治学の授業で使ってみたんですけれども、どうも学生はぴんとこないという質問があったんですね。例えば文化外交といえば、日本の強みであるアニメ、漫画を海外に発信するという外交をイメージするみたいですが、科学技術外交というのは、一体日本の何を売り込むんですかという、そういう質問が来ました。ですので、定義、説明が必要なのではないかというふうに思いました。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかには、特によろしいですか。

私もいろいろしゃべりたいんですが、主査ですので抑えていましたけど。おっしゃられるとおりでありまして、先ほど有信委員から全体の構造化という言葉で――構造化という言葉もいろいろな意味合いがあるので難しいんですけれども、先ほど、特に角南委員から言われたこと、あるいは松見委員から言われたことというのは、要するに強いところに投資するという話がありましたけれども、ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラをつくるかというような、要するに「京」の100倍、1000倍をつくるかというような議論とか、リニアコライダーをつくるかとか、この前、実はSPring-8とSACLAを見に行ってきたんですけれども、ああいうものをどんどんつくるかというような国際活動、国際戦略という話の一方、先ほどSATREPSはちょっと細々しているという話がありましたけど、あれは現場の研究学科ではかなりのエネルギーを使ってやっている仕事で、それ自体は、実はあれが動いているほとんどは、日本で留学生を教育して、その留学生が各国へ戻って、それがカウンターパートになってうまく動いているというような仕掛けで動いている。過去の日本の留学生政策、あるいは予算を使ったものが生きているというような部分があって、それにJICAのお金と絡めてプロジェクトが動いている。金額的には小さいものから、大きい施設的なもの、あるいはその中間のWPI的な予算、いろんなものがあって、それぞれステークホルダーがいるんですね。松見委員が御指摘のように相手がいて、相手にどう説明するか。要するにそれ全体が国民ですので、どう文科省の国際政策を、国際という名の下でどうやって構造を見せて理解を得るかということが必要なのだと思って、この委員会は、今日のお話を伺っている限りは、そういうものをきちんと見せるというか、関連を示していくと。そこの関連の中で、何がバランスが崩れているのかとか、諸外国と比べて、どういうところが効率が悪いのかとかいうことがもしもあぶり出せれば非常におもしろいなと思って、今日伺っていて、私個人の感想はそんなところですが。そういうまとめに対して、何か御批判、御意見ございますでしょうか。いかがですか。

【白石委員】  資源配分ということから申しますと、今、先生が言われたことが一番重要な点でございまして、実はこの前、私、国会でもそういうことを申し上げましたけど、例えばリニアコライダーの話なんかが、これは大変なお金を要するプロジェクトなわけで、これができると、例えばここで国際戦略どうしますか。予算はどうしますかなんて話すと飛んじゃうわけですよね。ですから、ああいうものについては、これは文科省の領域を超えていると思いますけれども、まさに国会で、実際のところ、ああいうもののいろいろな効果をきちっと評価して、それもオポチュニティーコストの観点から、リニアコライダーに投資するのか、それとも再生医療に投資するのか、あるいは放射線医療に投資するのか、いっぱいいろんなオプションがあるわけです。それをやらないと、正直言って資源配分のところが何か極めて政治的なプロセスで、私は政治というのはアート半分、サイエンス半分だと思っていますけども、全部アートで決まっちゃったりする。これはどうしようもないんじゃないかという、半ば愚痴ですけれども、申し上げたいと思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかに御意見は、どうぞ。

【松見委員】  同じような議論で済みませんが、今おっしゃったように、日本はSATREPSだ、科研費に基づく研究だ、いろいろやっているけども、なかなか国際的に日本は抜きん出ることができていない。いろいろあるのだけども、ブレイクスルーイノベーションが起こっていないということも踏まえて考えますと、いろいろ大学とか、企業の研究等々を広く薄く支援するのは、それはそれで当然やっていいのではないかと思うんですね。基礎研究であろうと、アプライドリサーチであろうと。だけれども、国としては別途、国家戦略、国家プロジェクトと言えるものを、科学技術をベースに国として立てないといけないのでは。それらは二つ違うアニマルだと思うんですね。これを一緒に全部やっていると、いつまでたっても今の日本の状況を脱皮できないのではないかなというふうな感じがいたしております。

【大垣主査】  そうですね。そういう議論をごっちゃにして議論しないように、明確に整理していかなきゃいけないことは確かですね。

ほかにはいかがですか。

【WIECZOREK氏】  外国から見ると、最近、外国の新聞の方には、日本はガラパゴスという言葉がまた挙がってきます。その理由は何でしょうか。私から見ると、日本での考え方は、もちろん国内の考え方は非常に大切なんですけど、今の時代だと、国内の考えから国際化とか、グローバル化の考え方に変えないと役に立たないかもしれないです。これはボトムアップとトップダウンの両方ですね。あとは宣伝が大切です。どうして最近またガラパゴスという言葉が挙がってくるのかとか、もちろんいろいろな調査も必要ですが、宣伝も非常に大切です。だからどういうふうに日本の科学を外国に宣伝するかとか、外国の研究者に宣伝するかが、今の時代は非常に大切です。

【大垣主査】  いかに日本、国全体として、松見さんの言葉でいうと、時価総額がいかに大きいかということを、あるいは潜在力があるということを宣伝、PRをしないといけないということでしょうかね。

はい、どうぞ。

【角南委員】  ここのもう一つの重要な観点というのは、情報だと思います。だからこそ日本は、幾ら潜在能力を高めても、あるいは分析能力を一生懸命鍛えても、世界最先端の情報が入ってこなかったら意味がないということです。

だから、ボトムアップでいくと、研究者は知っていても、それはそれだけで終わってしまっていて、恐らく戦略云々といっても、アフリカで今どういう研究があって、誰が何をやっていて、この分野では世界でどういうふうに評価されていて、それをやっている日本の先生はどこにいて、その先生は実はアフリカでは評価されていて感謝もされているという。そういうような情報をきちっと国家として集めてくる組織を、今度ここで掌握するんだという状況になるのか。その辺のところが非常に重要になってくるのではないかなと思います。

【大垣主査】  インテリジェンスですね。

【松見委員】  これは単なるリマインダーだと思うのですが、国際化とか、国際戦略というのはあくまで手段であって、決して目的であってはならないこと。この委員会でも今後議論する国際戦略というのは、やはり大学を国際的に強くする、日本の産業を国際競争力のあるものにしていく。そして、国全体が国際競争に勝って発展していくというのが目的であって、そのための科学技術分野、あるいは学術分野での国際戦略であって、それは手段だということ、そういうふうに理解していますので、もし間違っていたら、訂正してほしいと思います。

【大垣主査】  実は先ほど山田先生ですか、科学技術外交の定義の話があった。実はあるところで国際政治の方が、外交というのは相手がいて、相手の国があって、相手の国ごとに対応するものが外交であるとすると、科学技術も、先ほど角南さんじゃないけれども、相手がどういう科学技術を必要としていて、どういう情報も持っていてということを理解した上で対応していくという、それこそ重層的な構造になっているんだと思うんですね。そこの対応を、そういう図を作った上で、先ほどの国家の個別の資金の投入の仕方等にアイデアが出せれば、ここは成功かなと思うんですけどね。

どうぞ。

【浦辺委員】  恐らく科学技術外交の一つの例としては、資源外交というのがあり、今、経産省が一丁目一番地政策としてやっておられる。特にアフリカが対象になりますけれども、私はもともと資源の専門なのですが、基本的にはどこかへ資源を買いに行く、あるいは資源開発に協力するというのが日本の政策だったわけですけれども、開発をやろうとすると、学校を造ってくれとか、道路を造ってくれとか、全然関係ないインフラの要望がたくさん出てくる。それにはなかなか省庁として対応できないというような状況があったわけですけれども、中国がすごい勢いでアフリカにそういう資源外交に出てくると、日本はそれに対抗したというような形で、結構ぱっとまとまって、そういうものも全部まとめたことをやりましょう、それから人材育成もやりましょうという形で、ボツワナに衛星画像解析センターができたり、秋田大にそれの対応する学部ができたり、様々なことが出て、基本的にはすごく今のところはうまくいっている。つまり、中国のように、ナイジェリアの人なんかが言う資源収奪型の、新しい帝国主義みたいなのではなくて、その国のちゃんとインフラ、それからウェルフェア、そういうものが実現していくような形で探査技術であるとか、採鉱技術であるとか、そういうものもお互いに出していくことによって、時間はかかるんだけれども、日本型の資源外交ができているのかなということがあります。そういうのは、一つの科学技術外交の最近での成功例かなというふうに思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。

【白石委員】  2点、科学技術外交については4年ほどやりましたので、ちょっと結論的にどういうところで、少なくとも私としてタスクフォースを終えたかだけちょっと申し上げておきますと、科学技術外交というと、すぐに日本と外とのインターフェースのところの話になっちゃって、国内のいろんな研究者グループ、あるいは研究機関等が国際的にどう国際連携を進めていくのかというところの国内の方がお留守になる傾向があるので、最終的には、科学技術外交という言葉だけだと、恐らく肝心のことが落ちてしまうと。国際連携科学技術外交とか、そういう概念を併せないとだめだろうということが一つ、最終的に私が内閣府で申し送ったことでございます。

それから、もう一つは、外交のための科学技術ということでは、これは個別の事例をかなり具体的に考えなければいけなくて、私自身がプッシュしておりましたのは、JAXAの静止衛星のシステムというのは、これはいろいろな意味で、この地域の環境のモニタリングだとか、もっとそれ以上のことにもいろいろ実は使える。それは外交上の手段としても使えるので、是非考えていただきたいみたいなことは入っていたと。ですから、ちょっと話だけ、科学技術外交という言葉だけ聞くと、よう分からんという話になるのはよく分かるんですけれども、かなり具体的にいろいろなことを考えていたことだけちょっと申し上げておきたい。

それからもう一つは、先ほど角南さんが指摘されたことで、私自身も非常に痛感しておることですけれども、研究者のグループがあって、その人たちの国際的な評価というのがあるところに達すると、ティッピングポイントがあって、それを超えると何もしないでも向こうから人って来るんですね。ですから、そういうところにお金をつけると、ポスドクや何かが世界中からアプライしてくるので、そういう研究者のグループをどうやってアイデンティファイするかというのが非常に重要なことだろうと思います。私は日本にも結構いるんじゃないかと。だけども、今の日本のいわば平等主義ですと、そういう人に投入されている資源と、山中先生なんかは別かもしれませんけれども、そういう人に投入されている資源と、余り投入効果のない人に投入されている資源がメリハリがついていないというのが一つ問題なのではないだろうかと思います。

【松見委員】  科学技術外交ですが、民間にいる人間からすれば、非常に重要で価値のあることだと思うのです。もう既にいろいろ解説がございましたので、2点だけ付け加えさせていただくと、決して科学技術外交というのは日本の押し付けではなくて、あくまで新興諸国の現地のニーズに対応して、それらの課題を解決してもらって社会発展してもらう。そのために日本の使い得る科学技術を動員する。そうすることによって、もちろん日本のイメージどころか、国家関係も改善していき、日本のプレゼンスも高まっていくということが一つ重要だと思います。

最後一つは、はっきり言ってビジネスだと思います。科学技術外交の究極はビジネス。早い、調査の段階から日本がお金の面で支援して、日本と新興諸国で共同のリサーチから始まって、次はフィージビリティースタディー、パイロットプロジェクトに進んで、最後はビジネス。今後どんどん大きくなっていく新興諸国市場において日本が勝つために非常に重要な施策だと思います。更に言いますと国際標準です。国際標準については、通常欧米が日本をサポートするはずはないのでありまして、今後、国際標準を日本が取っていくためには、どうしてもアジアを中心に新興諸国を味方につけないと票が取れないわけですから、やっぱり時間はかかりますが、早い段階からのこういう科学技術外交を新興諸国向けに展開して、日本に

感謝していただいて、ISOの件でも味方を増やしていくという、そういう狙いもあるというふうに思っています。

【大垣主査】  ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【角南委員】  ちょっと補足ですが、今DARPA式ということも出てきていますけれども、このポイントはプロジェクトマネージャーが絶対的権限を持って、ピアレビューじゃなくてセレクトしていく。そのときにセレクトする人はレピュテーションとか、いろいろなことをよく調べた上で行う。

そのときに、日本にそんなプロマネができる人がいるんですかという話になるんですけど、仮にそういう人が出てきたとしても、情報がないとできないので、是非プロジェクトマネージャーを支えるためにも情報をきちっと収集して提供できるところも併せて考えていくことが必要です。

【大垣主査】  ありがとうございます。

予定の時間が近づいてきたんですが、特に御発言、加えるべきことがあれば、いかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、様々な御議論をいただき、大変有意義な議論ができたのではないかと思いますが、予定の時刻になりましたので、ほかに発言がなければ、本日の議論はここまでとさせていただきます。

なお、今回御議論いただきました内容を事務局が論点整理のペーパー案としてまとめた上で、次回の国際戦略委員会にて皆様へ御提示する予定であります。なお、今回言い足りなかった部分や、たくさん言い足りなかったかも分かりませんが、後日新たに思いついた御意見などございましたら、来週中、7月19日までに事務局までメールなどで御連絡いただければ幸いであります。

それでは、最後に事務局より、今後のスケジュールなどについて説明をお願いいたします。

【原戦略官補佐】  今後のスケジュールについて御説明させていただきます。資料8を見ながらご説明させていただきます。

まず、次回の第2回委員会ですが、9月の中旬ということで、今先生方に日程調整をお願いしているところでございますが、今のところ、委員の皆様が比較的集まれる日というのが、9月18日の午前中というのが一番、現時点で、全ての先生から集まっているわけではございませんが、一番候補になってございます。この時間の御都合が悪いと御回答いただいている方もございますが、今のところ、この日程を第一候補として、場所等も含めて今探しているところでございます。また、詳細につきましては、改めて御連絡差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、今後、第3回以降につきましては、1か月から2か月に1回程度の頻度で開催してまいりたいと思います。目指すところとしましては、まず最初、来年度春の報告書ということを目指すとともに、また、委員会の途中でも機会があります都度、政策立案等への反映を目指した形での中間とりまとめ等も行ってまいりたいと考えております。そして、最終的にはその報告書というのが、将来的な第五期科学技術基本計画に反映させていくということが、最初御説明がありましたように進めていきたいと考えているところでございます。以上でございます。

あと事務的な事項でございますが、資料につきましては、封筒に入れて置いていただければ、ちゃんと先生方の御連絡先の方に郵送させていただきますので、もしも重いので置いていくという場合でしたら、後ほど送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【大垣主査】  ありがとうございます。次回の日にちの確認ですが、9月18日水曜日の午前。

【原戦略官補佐】  午前中でまず日程調整を進めてさせていただければと思います。

【大垣主査】  最有力候補であるということ。

【原戦略官補佐】  有力候補ということで、はい。

【大垣主査】  ありがとうございます。

それでは、本日の委員会はこれで散会いたしたいと思いますが、大変熱心な審議、ありがとうございました。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(国際戦略室)

岩井、鈴野、阪本、山本

電話番号:03-6734-4053

ファクシミリ番号:03-6734-4058

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