■ 大学の実力 「強行突破」の行方は 『読売新聞』 2013年8月23日付

『読売新聞』 2013年8月23日付

■ 大学の実力  「強行突破」の行方は

大学が社会の期待に応えるには、何が必要か。「大学の実力」調査で尋ねたところ、全学長の85%が「教員の教育・学習支援力を強化する」と回答した。その一つ、長崎大学は昨秋、他に例のない改革に着手した。

約25の社会的なテーマを設定し、それぞれに関連した8~10科目を学ぶシステムの導入だ。例えば「核兵器のない世界を目指して」のテーマでは、核の歴史や被曝(ひばく)医療の現状、芸術との関わりなど、多角的に科目を設け、討論などを通して自ら学ぶ姿勢の育成を狙う。

教員同士の意思疎通や教育への意欲向上など、教える側にも変化が求められる。そのためもあってか、構想段階から教員の反発は激しかった。片峰茂学長は「最後は強行突破で踏み切った」と振り返る。

変化の兆しは徐々に出ているという。課題や資料をネット上に掲載する学習用ウェブの利用時間は、課題などを作る教員で前年の4倍、学生では5倍にまで増えた。学生の満足度が上昇したというデータはまだ出ていないが、学内の雰囲気が違ってきたそうだ。

〈学生は学びたがらない。教員は教えたがらない〉。大学でよく聞く言葉だ。その嘆息をかき消すことができるのか。「強行突破」の行方が気になる。(編集委員 松本美奈)

 

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