大阪大学:「学内版固定資産税」で施設の改修費捻出『毎日新聞』2013年07月13日付

『毎日新聞』2013年07月13日付

大阪大学:「学内版固定資産税」で施設の改修費捻出

 ◇「古い汚い臭い」返上へ

 大阪大学は、老朽化した学内施設の改修費を工面するため、学部・研究科などから、管理する建物の床面積に応じて施設老朽化対策費を徴収する制度を今年度から始めた。1平方メートル当たり500円で、毎年5億円をかき集める。2004年の独立法人化に伴い台所事情が苦しくなっているが、「古くて汚いキャンパスでは、優秀な人材が集まらない」として、「学内版固定資産税」の導入で乗り切る考えだ。

 大阪大の建物は、1970年開設の吹田キャンパスなどで、多くが築30年以上経過している。11年度、各学部・研究科を対象に改修の必要性を調べたところ、「トイレが臭いと患者から苦情がある」(歯学部付属病院、1983年設立)などの声が上がり、水回りの改修、雨漏りや配管の破裂の対応などで計30億円が必要と分かった。

 大阪大は、留学生の受け入れや外国人教員の採用など国際化に力を入れているが、「トイレが臭いようではあかん」(恵比須繁之副学長)として、段階的な改修を決めた。学部・研究科などから集める費用は、当初1平方メートル当たり900円を予定していたが、最終的には500円で折り合った。学部・研究科は、大学から交付される研究費や企業からの寄付金などを充てている。

 学内の建物の総床面積は計約100万平方メートル。工学研究科(12万7676平方メートル)が6383万円▽医学部付属病院(10万8930平方メートル)が5446万円▽医学系研究科(6万6301平方メートル)が3315万円▽理学研究科(5万1069平方メートル)が2553万円−−などを毎年支払うことになり、国からの施設費交付金約1億5000万円と合わせ年約6億5000万円を確保した。

 今年度は既に、非常階段やトイレの改修工事を始めた。大学本部に専門の委員会を設置しており、老朽化や緊急度をポイント化し、上位の建物から改修する。

 文部科学省によると、同様の取り組みは他の2大学にあるという。12年度の文科省の報告書によると、国立大が保有する施設のうち、築25年以上経過している建物は約6割あるが、改修が済んだのは資金不足などで4割に満たない。大阪大の平野俊夫学長は「自分の学部・研究科だけがいいという考え方ではなく、学内全体で意識を共有できるようにしたい」と狙いを話した。【斎藤広子】

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