県立大構想に相次ぐ要望 松本広域、私大4校、県議有志 『信濃毎日新聞』 2013年7月4日付

『信濃毎日新聞』 2013年7月4日付

県立大構想に相次ぐ要望 松本広域、私大4校、県議有志 

 県が県短大(長野市)を四年制化して新設する県立大の基本構想について、松本広域連合や同連合議会、中信地区の県議有志、県内の私大4校が3日、県に対し相次いで要望書を提出した。競合を懸念する松本大(松本市)が設置に反対している管理栄養士養成課程などを問題視し、学部構成の再検討や入学定員の削減、慎重な対応などを要望。県側は岩崎弘総務部長らが対応し、県の具体的な考えを説明する機会をつくってほしいなどと求めた。一方、この日の県会総務企画委員会では、長野市選出の県議から、早期の構想具体化を求める意見などがあり、県立大をめぐる混迷が続いている。

 松本広域連合は、代表副広域連合長の小口利幸塩尻市長や、同連合議会議長の太田更三松本市会議長ら6人が県庁に岩崎部長を訪問した。小口市長は「子どもが減っていく時代に、私立と公立の学生の奪い合いになる懸念が強い」と主張。坪田明男・松本市副市長は「松本大は県や松本市などの多額の財政支援でできた『地域立大学』。同じような学科をぶつけるのは理解できない」と述べた。

 これに対し、岩崎部長は「私大側と話し、指摘は十分踏まえて議論してきた」とした上で、「構想を具体化する中で意見交換しながらやっていきたい」と述べた。

 要望書を提出した県議有志は、県会最大会派自民党の清沢英男氏(東筑摩郡)、第2会派改革・新風の下沢順一郎氏(松本市)、中川博司氏(同)、甕裕一氏(安曇野市)、続木幹夫氏(塩尻市)、第3会派県民クラブ・公明の中川宏昌氏(松本市)の6人。県立大学設立担当の高田幸生総務参事に要望書を渡し、松本広域連合などの要望を十分に踏まえ、慎重に対応するよう求めた。

 また、松本大、長野大(上田市)、諏訪東京理科大(茅野市)、清泉女学院大(長野市)の私大4校は、阿部守一知事や本郷一彦県会議長宛ての要望書を、高田総務参事などに提出。「県内私立大と競合せず、高度な学部学科の設置を要望してきたが、構想に十分反映されていない点は、極めて遺憾」とし、入学定員を絞るよう求めた。松本大の小倉宗彦事務局長は取材に「大学の理念や高等教育の振興策は一定の評価はするが、私大側の要請が受け入れられておらず、納得していない。管理栄養士養成コース設置を認めるつもりもない」とした。

 一方、県議会総務企画委員会ではこの日、改革・新風代表の倉田竜彦氏(長野市)が早期の構想具体化や学長選任を要望。県短大卒業生の共産党県議団長、石坂千穂氏(同)は管理栄養士受験資格などが取得できる課程を重視するよう求めた。県民クラブ・公明顧問の宮沢敏文氏(北安曇郡)は県がこれまで私立大との関係構築を怠ってきた―とし、今後の改善を求めた。

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