第2期教育振興基本計画を閣議決定 大学改革推進盛る『日本経済新聞』2013年6月14日付

『日本経済新聞』2013年6月14日付

第2期教育振興基本計画を閣議決定 大学改革推進盛る

 政府は14日、2013年度から5年間の教育行政の指針となる第2期教育振興基本計画を閣議決定した。4月に中央教育審議会(中教審)が答申した計画原案に、政府の教育再生実行会議が提言した内容を盛り込んだ。大学改革や海外で活躍できる人材の育成策を新たに加える一方、教育への公財政支出の拡大については原案よりも記述の表現が後退した。

 計画は改正教育基本法に基づくもので(1)社会を生き抜く力の養成(2)未来への飛躍を実現する人材の養成(3)学びのセーフティーネットの構築(4)絆づくりと活力あるコミュニティーの形成――の4点を「教育立国」実現に向けた基本的な方向性と位置付け、30項目の重点施策を挙げた。

 語学力を生かし海外で働ける人材の輩出に向けては、20年をメドに日本人の海外留学者数を12万人に倍増。留学生の経済的負担を軽減するため、官民が協力して給付制度を創設すると明記した。英語力の底上げを狙い、小学校での英語教育の教科化や実施学年の早期化も検討する。

 大学改革では、学長がリーダーシップを発揮できる環境を整備するため、ガバナンス機能を強化。国立大学の人事給与制度を見直して年俸制を導入し、若手や外国人研究者の登用を促進する。

 高校生の学力向上を目指し、教育再生実行会議が6月から議論を始めた高校在学中に複数回受験できる「到達度テスト」の導入についても検討するとした。

 一方で、公的な教育投資の拡大をめぐっては表現が後退。計画原案が、教育への公財政支出を経済協力開発機構(OECD)諸国並みに引き上げることを「将来の目標」に掲げたのに対し、閣議決定された計画は「諸外国における教育投資の状況を参考とする」との表現にとどまった。

 下村博文文科相は閣議後の記者会見で「教育再生に向けた具体的な道筋を示す計画を策定できた」と強調。一方で、公的な教育投資をOECD諸国並みに引き上げることには「財務省から相当の抵抗があった。政府全体の理解が十分に得られていない」と述べた。日本の公的な教育投資をOECD加盟国平均に引き上げるには年10兆円の支出増が必要とされる。

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