大学と地域 連携活発 富大 拠点事業構想を発表『中日新聞』富山版2013年6月1日付

『中日新聞』富山版2013年6月1日付

大学と地域 連携活発 富大 拠点事業構想を発表

 県内で、周辺自治体と連携して、地域の課題解決に積極的に取り組む大学などの教育機関が増えている。三十一日に県庁であった石井隆一知事と富山大の遠藤俊郎学長との会談では、連携の重要さが互いに強調された。地域の中核的存在を目指した文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」(大学COC事業)には、県内の大学、高専、短大七校のうち五校が申請している。

 COCは、センター・オブ・コミュニティーの略。事業は、県や市町村と連携して社会貢献を進める大学や高専、短大などの教育機関五十校を選び、本年度からの最大五年間で最大五千八百万円を助成する。県内からは富山大と県立大、富山福祉短大、富山国際大、富山短大の五校が申請した。八月上旬に選定される。

 会談では、富山大のCOC構想を発表。本年度中に大学内に「COC推進委員会」を置き、大学が取り組む地域課題を協議するほか、県と市町村、産業界、教育界との間で「地域課題検討会議」を設けて、取り組みが必要な課題をまとめる。

 COCに、遠藤学長は「他大学を含めながら、力を入れて取り組みたい。これまでの全ての活動を包括する形」とし、石井知事は「さらに一段と飛躍し、内容を拡充していくことには大賛成。ぜひ頑張ってもらいたい」と話した。

 県立大(射水市)では二〇〇四年度に地域連携センターを大学の窓口として開設。企業などから相談があれば、コーディネーターが大学の教員や研究グループとつなげている。今後は窓口を拡大し、相談を受けるのみならず、地域課題を具体的に提案する仕組みづくりに取り組むという。

 地域連携センターの岡田敏美センター所長は「開校当時から地域連携を理念に掲げてきた。工学部の単科大だが、規模は小さくても積極的に取り組んでいける」と前を見据える。

 文科省によると、〇六年に改正された教育基本法で、大学の役割として「成果を広く社会に提供する」ことが指摘された。担当者は「地域に根ざした学生の育成や社会貢献の担い手になることが期待されている」と話している。 (石井真暁)

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