有明海再生へ佐賀大、長崎大など4大学連携『佐賀新聞』2013年5月14日付

『佐賀新聞』2013年5月14日付

有明海再生へ佐賀大、長崎大など4大学連携

 有明海再生に向けて科学的な知見やデータを結集しようと、佐賀大など沿岸4県の4大学による共同観測プロジェクトが始まった。国営諫早湾干拓事業の開門調査をめぐって佐賀、長崎両県の対立が続く中、大学の連携を深めてより広範囲で高精度な調査研究につなげ、漁業者や住民、自治体の判断材料となる客観的な情報を提供するのが狙い。「諍(いさか)いの海」から脱却し、地域連携を促して環境や漁業の改善を目指す。

 プロジェクトには佐賀大のほか九州大、長崎大、熊本県立大が参加。各大学は、長年の有明海研究の実績や蓄積した調査データを持つ。今後の開門調査も見据えて観測結果などを共有しながら調査と分析を進め、環境異変のメカニズムを解明しようと共同で行うことにした。

 メンバーは佐賀大の11人を含む20人。沿岸海洋学、生物学、土木学、法学など幅広い専門分野の研究者がそろい、開門による有明海の環境改善効果についてはそれぞれ賛否や見解が異なるという。

 プロジェクトは2018年までの6年間。佐賀大は低平地沿岸海域研究センターが有明海湾奥部に設けた観測タワーによる調査や実地調査などを行うほか、各大学が持っている設備や技術を生かして流速観測や水質調査を進める。開門の前後による環境変化も検証しながら、有明海の総合的な環境対策を検討する。

 プロジェクト事務局の速水祐一同センター准教授は「有明海全域の調査や第三者の立場からの中立的なデータ提供が可能になる。開門の是非ではなく、有明海を再生させる未来志向で研究を進め、地域連携につながるよう成果を市民に分かりやすく発信したい」と話す。

 

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