国立大教員に年俸制 文科省改革案、海外大と大学院も『日本経済新聞』2013年4月23日付

『日本経済新聞』2013年4月23日付

国立大教員に年俸制 文科省改革案、海外大と大学院も

 グローバルに活躍し成長産業を支える人材育成を強化するため、文部科学省がまとめた大学教育の改革プランが22日判明した。国立大教員への年俸制と民間企業からの報酬受け取りを導入し、優秀な民間研究者や外国人教員を呼び込む。日本と海外のトップ大学が共同で大学院を設置することも促す。6月に策定する政府の成長戦略に盛り込む方針だ。

 下村博文文科相が23日の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)で表明する。

 国立大改革で、教員の人事給与制度を見直す。海外トップ大では一般的な年俸制の導入を2014年度から促し、成果に応じた報酬が受けられるようにする。東京大や京都大などでは今後3年間で約1500人の教員が定年退職する見通し。後任の採用時に加え、今の准教授や助教にも年俸制の適用を求める。

 04年の法人化に伴い、国立大は給与制度を自由に決められるが、一部の任期付き教員や外国人教員を除いて、ほぼ全校が勤続年数に応じて額が決まる公務員型のままだった。

 大学教員が民間企業と共同研究した際、国立の主要大学では研究への貢献度など報酬算出に手間がかかるため、給与に上乗せしていない。民間から適正な報酬を受け取れるようにし、海外や民間研究者を国立大が迎え入れやすくする。文科省は報酬算出システムの導入費用を助成する。

 また、14年度から国際化に取り組む大学を10年間重点支援する補助金を創設。海外のトップ大学から教授やスタッフを誘致し、研究や授業をする共同大学院や共同学部を運営する大学を支援する。国内と海外の大学が共同で学士・修士・博士号を出せるよう、大学設置基準なども改正する。

 海外ではシンガポール国立大が米エール大と提携し、8月にシンガポールに新大学を開校。米エール大から教授らを招き、米トップ大の授業を提供する動きが出ている。

 日本人の海外留学生を現在の倍の12万人に増やすため、企業の協力によって留学費用を支援する基金創設も検討する。

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