『毎日新聞』2013年04月06日付
仕送り:私大生、8万9500円 家賃引くと、1日923円生活 首都圏調査、過去最低
首都圏の私立大・短大に昨年入学した自宅外通学生への仕送り10+件額は月平均8万9500円で、12年連続で減少し、86年度の調査開始以来過去最低を更新したことが5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査で分かった。仕送りだけで生活した場合、家賃を引いた残りの生活費は初めて1日1000円を切った。東京私大教連は保護者の収入減の影響とみており、「安心して学べるように、政府は私大生の学費負担軽減策を新設してほしい」と話している。【福田隆、三木陽介】
調査は昨年5〜7月、早稲田大や明治大など首都圏の17大学・短大の新入生の保護者を対象に実施し、5349人から回答があった。うち自宅通学生は3221人、自宅外は2128人だった。
自宅外通学生の保護者世帯の税込み平均年収は860万円で前年比約40万円減。月平均仕送り額(6月以降)はピークだった94年(12万4900円)から3割減った。一方、平均家賃は6万1800円で前年から微増。仕送りに占める家賃の割合は69・1%で、前年から2・3ポイント上がった。仕送りから家賃を除いた生活費は2万7700円、1日当たり換算で923円と、いずれも過去最低を記録した。
仕送りの減少に伴い、学生はアルバイトの掛け持ちが目立ち、深夜勤務のため翌日の講義中に居眠りする学生もいる。食費を切り詰める傾向も見られ、ある学生の場合、朝食はおにぎり3個、昼食はカップ麺、夕食は牛丼屋に行ければ良い方だという。東京私大教連の柿崎敦・中央執行委員は「親の年収減少の影響が大きく、学生はアルバイトに追われて勉強どころではない」と訴えている。
◇バイトで疲れ授業行けず ごはん、牛丼ばかり
福井県鯖江市出身の早稲田大法学部4年の男子学生(22)は、自営業の親からの仕送り10+件は月4万円。1年生の時はキャンパスから電車で約20分の家賃2万5000円の学生10+件寮に入っていたが、通学費と時間がかかるため2年生から大学近くのアパートへ引っ越した。しかし、家賃は7万4000円。日本学生支援機構からの奨学金(月約10万円)ではとても生活できず、2日に1回はアルバイトに明け暮れ、疲れて授業に行けないこともある。「友人からは『社畜』とからかわれています」と苦笑する。