就活「4年生から」現実味 経団連が容認姿勢『日本経済新聞』2013年4月9日付

『日本経済新聞』2013年4月9日付

就活「4年生から」現実味 経団連が容認姿勢

解禁繰り下げ「政府要請あれば」

 大学生の就職活動の解禁時期を大学3年生の12月から、大学4年生の4月に繰り下げる動きが現実味を帯びてきた。経団連の米倉弘昌会長は8日の記者会見で、政府から正式な要請があれば繰り下げを容認する考えを示した。中小企業の採用への影響など今後議論すべき課題は残るが、慎重だった経団連が容認姿勢に転じたことで、早ければ2015年3月卒の学生から解禁繰り下げが実現する可能性がある。

 米倉会長は記者会見で、要請があった場合の対応について「政府の意向を粛々と受け止め、会員に周知徹底する」と語った。ルールを企業に浸透させるには現在、就活の解禁時期を「3年生の12月以降」としている倫理憲章を書き換える必要がある。米倉会長は「多くの企業が賛同する内容にしないといけない。要請が来てから色々と検討する」と憲章の改正にも前向きな姿勢を示した。

 就活の解禁時期を遅くするのは、「学生の勉強時間を担保する」(下村博文文部科学相)のが最大の理由だ。政府は若者の就業支援などを議論する会議として「若者・女性活躍推進フォーラム」を官邸に設け、就職活動の繰り下げを協議している。大学生の採用活動の解禁時期を遅らせて大学4年生の4月にするよう経済界に求める案もこの中で浮上した。

 これまでの議論では賛成意見が大半を占めており、同フォーラムは時期繰り下げを含めた提言を5月までにまとめる方針。政府は関係省庁での検討を経て、経済界に正式に提案する見通しだ。

 就活の解禁時期を巡っては、経済同友会の長谷川閑史代表幹事が大学3年の行事が終わった「3月からにすべきだ」と繰り下げを提言。対して経団連は就活時期の短期化で学生に混乱が広がりかねないなどと慎重だった。

 就活時期が仮に繰り下げられても課題は残る。経団連の倫理憲章に賛同していない企業はルールを守る必要がなく、外資などが優秀な人材を先に囲い込む可能性もある。大手の後に採用活動が本格化する中小企業は日程が窮屈になるため、優秀な人材を採用できるか懸念する声もあがっている。

就活解禁を大学4年生の4月まで繰り下げた場合

メリット
大学3年生の終わりまで勉強に集中できる
3年生の冬休みもインターンシップに使える
欧米への留学生組が採用に間に合う

デメリット
大企業の後に採用のピークを迎える中小企業は不利
準備不足の学生と優秀な学生の差が開き、全体の内定率が落ちる恐れ
外資など経団連の倫理憲章に縛られない企業が解禁時期を守らない可能性

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