報告書漏出の官僚、教授就任 ◆ 山大「道議的問題なし」『朝日新聞』2013年4月3日付

『朝日新聞』2013年4月3日付

報告書漏出の官僚、教授就任 ◆ 山大「道議的問題なし」

 山形大学は1日付で、原子力規制庁審議官を今年2月に更迭された名雪哲夫氏(54)を、出身元の文部科学省から教授として迎えた。2日記者会見した結城章夫学長は道義的な問題はないのか問われ、「本人はすでに処分を受け、悔い改めている」と説明、問題はないとの認識を示した。

 国許認可考え決定

 山大によると、名雪氏は放射線の安全規制に詳しい行政官。山大が医学部への導入を目指す「重粒子線がん治療施設」の実現にあたり、国の許認可を得るうえでの「適任者」として、同施設設置準備室の専任教授に迎えたという。

 結城学長は元文科事務次官。「人事のプロセスを明かすのはあまり良くないと思っている」とした上で、重粒子線プロジェクトを推進するため、同省に「放射線安全規制に明るい人材がいないか」と照会したところ、名雪氏を紹介されたという。

 名雪氏は今年1月下旬、日本原子力発電(原電)の敦賀原発直下の断層をめぐって公表前の報告書案を原電役員に手渡し、漏出させた。この件で「中立性を重視する職員として著しく軽率」として、2月1日、内規でもっとも重い訓告処分を受け、原子力規制庁審議官を更迭されている。

 結城学長は、名雪氏が受けた処分について「人事記録に残す懲戒処分ではなく、指導上の訓告にとどまっている」「すでに処分を受けて、いわば終わった問題。受け入れにあたって支障はないと判断した」と説明している。

 大学側では、今回の人事について「学内に心配する声もあった」(結城学長)が、最終的に役員会で決定した。(伊東大治)

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