胎児心電図、臨床試験スタート 東北大病院『河北新報』2013年3月26日付

『河北新報』2013年3月26日付

胎児心電図、臨床試験スタート 東北大病院 

 お母さんのおなかに電極を張り、赤ちゃんの心電図を計測する「腹壁誘導胎児心電図装置」の臨床試験が、仙台市青葉区の東北大病院で始まった。装置は東北大と国内の医療機器メーカーが共同開発した。実用化されれば、周産期分野では初めての「大学発純国産医療機器」の誕生となる。

 胎児の心電図は5~20マイクロボルトと微弱。母親の約1000マイクロボルトと比べわずか200~50分の1で、通常の心電図装置では胎児の心電図を取れなかった。

 計測法は東北大医学系研究科の木村芳孝教授(周産期医学、生体情報工学)が開発した。複数の電気信号から不要な信号を除去する独自の解析理論を導入し、母親の心電図から胎児の信号をリアルタイムで抽出する。

 医療機器製造のアトムメディカル(東京)と共同開発した試作機は妊娠中期から測定できる。胎児の脳の低酸素状態を示す微細な揺れも測定でき、心疾患の早期発見と治療、切迫早産の管理などに役立つことが期待できるという。

 臨床試験は東北大病院に通院か入院する妊娠中期~後期の妊婦17人を対象に22日に始めた。胎児の心拍数を測る従来の分娩(ぶんべん)監視装置との比較などを行い、薬事法などの審査を経て1年後の実用化を見込む。

 東北大によると、医療機器の多くは海外の大手メーカー製。医療関連予算の国外流出や輸入超過が続いており、国産機器の開発と実用化、輸出増を図るのが課題という。

 木村教授は「実用化で1人でも多くの赤ちゃんを助けたい」と語る。東北大病院臨床試験推進センター長の八重樫伸生教授(産婦人科学)は「純国産の医療機器をぜひ世界標準に育てたい」と話している。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com