16年度開学、構想具体化へ 府・市立統合新大学『大阪日日新聞』2013年3月25日付

『大阪日日新聞』2013年3月25日付

16年度開学、構想具体化へ 府・市立統合新大学

 大阪府と大阪市が進める府立大と市立大の統合、再編について、2016年度に新大学としてスタートする方針が固まり、府と市は現在、具体的な概要固めの段階に入っている。2月8日の府市統合本部会議で示された大阪府市新大学構想会議委員らの提言をもとに、両大学への意見聴取や府市両議会での議論を踏まえ4月をメドに新大学ビジョン(案)の策定を進めている。

■「3本柱」提言

 矢田俊文会長(北九州市立大学前学長)はじめ大阪府市新大学構想会議委員らによる新大学構想の概要をまとめた提言によると、(1)新たな教学体制の導入(2)選択と集中による教育組織の再編(3)大学運営システムの抜本的改革-を改革の3本柱と位置付けている。

 両大学の重複分野を見直し、その資源を戦略的分野に投入するなど選択と集中による再編で、日本の国公立大学のモデルとなる大学経営システムの改革実現を目指す。

 体制としては、旧来からの8学部制をとる市立大と4学域制をとる府立大のシステムの違いをどう統一するかが課題だが、提言では新大学の学士課程で学部と学域を併存し、重複分野を統合するとしている。

■「強み」を生かす

 両大学の工学の強みである建築や土木、海洋、航空、新エネルギーなどを統合し、大学統合のシンボルとして打ち出すのに加え、ナノ、創薬など未来分野を充実し、理学・工学分野を融合した未来志向の新学部「地域未来理工学部(仮称)」を設置。また地域保健学域(府大)と生活科学部(市大)を再編し、栄養、リハビリ、福祉など人間のトータルサポートをめざす新学域「人間科学域(仮称)」などを新設し、新大学の目玉とする。

 さらに現在、公立大学で府大に唯一設置されている獣医学科を新大学では「獣医学部」とするほか、経済・経営系の学部では国際的人材育成や大阪の成長戦略への貢献を期待し国際経済、地域経営の新学科を設置するなどの案が示されている。 キャンパスイメージとしては、両大学の現有キャンパスをそれぞれ医療系や学術系、学際系など特徴を出しながら活用するほか、新学域の設置などを念頭に新キャンパスを大阪市中心部に新設する案なども盛り込まれている。

■来月ビジョン案

 府市が4月に新大学ビジョン案を、府市と両大学の4者で構成するタスクフォースが8月までに具体的な新大学案を策定する。教育研究の分野においては両大学による「新大学推進会議」(仮称)を設置し、具体的な検討を進める。

 14年度中に理事長の一本化や法人事務局の統合など組織の実質統合を行い、15年度には両法人を統合(1法人2大学化)、16年度からは大学も統合し、新大学を開校する予定にしている。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com