佐賀大学 志願者急増の秘密は? 『朝日新聞』佐賀版2013年3月23日付

『朝日新聞』佐賀版2013年3月23日付

佐賀大学 志願者急増の秘密は? 

【松川希実】少子化が進み、優秀な学生獲得に各大学が躍起になる中、佐賀大で今年の志願者数が前年比で1千人以上増えた。佐賀医科大と統合し、新佐賀大が発足してからでは過去最多。一方、「質の保証」で定員削減にも踏み切った。同大のねらいを探った。

 21日、佐賀大の後期試験の合格発表。理工学部に自分の番号を見つけた佐賀市の高校生(18)は「倍率が高くて、チョーびびってたんです」とほっとした表情を浮かべた。

 県内の進学校で進路指導にあたる教師は、「地元志向が高まっている。家庭の経済事情を心配する子どもは以前より増えた」と話す。確かに佐賀大でもこの2、3年、志願者数は緩やかな上昇傾向にある。

●理工学部が底上げ

 しかし、今年は一般入試で5956人と、前年より1178人も増え、過去最多となった。とりわけ後期が3346人と1109人増えた。入試を担当するアドミッションセンター長の兒玉浩明教授は「理工学部の入試制度が変わったため」と説明する。

 理工学部は今年から後期試験に個別学力検査を導入した。前年まで後期はセンター試験の点数で合否を決めていたが、今年は、物理や化学など各学科で指定された1教科を受験し(2学科は2教科からの選択)、センター試験6、個別学力検査4の割合で点数配分されることになった。これにより、センター入試で奮わなかった受験生にもチャンスが広がった。

 理工学部には後期だけで前年より約1千人多い、1658人が志願、受験倍率は前年の2・0倍から7・8倍に跳ね上がり、全体の志願者数を押し上げた。この急増は佐賀大にとっても想定外だったという。

●「質の保証」には苦心

 志願者数急増の一方で、佐賀大は定員削減にも踏み切り、今年は経済学部の定数を15人減らした。ねらいは「学生の質の保証」にあるという。

 アドミッションセンターによると、経済学部は志願者の増減が激しい学部で、受験倍率が1・5倍を切った年は、成績が水準に達していなくても合格させるケースが出て、入学者の学力にばらつきが出た。そのため、入学後にやる気を失っい、留年や退学など「ドロップアウト」する学生が目に付いたという。

 兒玉教授によると、受験倍率と入試の得点の関係を調べたところ、倍率が高い年は、点数が高い学生が一定数合格したのに対し、倍率が低いと、同じ合格者でも点数の開きが大きくなり、入学後の学力格差につながったとみる。定員削減に踏み切りつつも、一定の質の保証には受験者数という量の確保は重要という。

 佐賀大は、さらなる受験者の獲得を目指して、新年度は高校教員を対象にした入試説明会を、6月から佐賀市だけでなく、長崎、熊本、北九州、宮崎、鹿児島、大分、山口、福岡の各市で実施する。

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