『読売新聞』2013年2月11日付
研究費不正に罰則強化…応募停止最長10年
公的な研究費の不正使用や、データ捏造などの不正行為を防止するため、文部科学省は研究者に支給する補助金の規定を見直し、2013年度支給分から、罰則を強化する方針を決めた。
研究費を私的流用した悪質な研究者に対しては、応募資格を現状の2倍の10年間停止する。新たに上司の監督責任も問う。厚生労働省など公的研究費を扱う他の7府省も罰則基準をそろえ、不正の根絶を図る。
政府の公的な研究費は12年度予算で約4300億円あり、文科省分は約3580億円を占める。うち約2570億円は科学研究費補助金(科研費)。こうした研究費は、研究者が獲得を競い合うため競争的資金と呼ばれる。
公的な研究費を巡っては、年度内に使い切れなかった分を、消耗品を購入したことにして取引業者に預ける「預け金」などの不正がしばしば発覚し、文科省は07年、管理・監査のガイドライン(指針)を策定。大学などに発注・納品を確認するチェックシステムの強化などを求めた。
しかし、同省の調査では07~11年度の5年間に、科研費だけで約300人が不正を理由に応募資格を停止され、計3億円近くの返還を命じられた。11年には大阪大でカラ出張などによる約4000万円の不正経理が発覚。12年には北海道大で35人の教員による計約2億2300万円の「預け金」も見つかっていた。このため、文科省、厚労省、内閣府、総務省など8府省は昨年10月、研究費の不正に対して統一的なペナルティーを科すことを申し合わせた。