教育再生会議が始動 改革へ課題山積み『日本経済新聞』2013年1月25日付

『日本経済新聞』2013年1月25日付

教育再生会議が始動 改革へ課題山積み

 安倍晋三首相が政権の重要課題と位置付ける教育改革を議論する「教育再生実行会議」(座長・鎌田薫早稲田大総長)が24日、スタートした。スピード重視で議論を重ね、夏の参院選前に成果を示したい考えだが、いじめ対策や教育委員会、大学の改革と、課題は山積み。実効性のある提言を打ち出せるか、首相の指導力が問われる。

 「いじめ対策にはすぐ取り組まねばならない。議論だけしている時間はない」。24日の初会合終了後、記者会見した下村博文文部科学相は2月中に開く次回の会議でいじめ対策の提言をまとめたい考えを示した。

 いじめ対策に特効薬は見当たらない。文科省によると、昨年4~9月に全国の学校が把握したいじめは14万件で、前年度1年間の2倍超。同省はいじめによる自殺などが問題化するたびに学校カウンセラー増員などを進めてきたが、成果は見えにくい。

 初会合では「児童虐待防止法のような通報制度を導入すべきだ」「道徳の教科化を」「学校を交番の巡回コースに加えるべきだ」といった具体的な提案があった。一方、家庭と学校の連携強化や、子供の自己肯定感を高める必要性を指摘する抽象的な意見も多く、「制度改正などでは根本的な解決は到底できない」といった意見まで出た。

 初会合後、鎌田座長は「具体的な議論が進んだとまではいえない」と話した。実効性のある対策を打ち出せるかは未知数。教委制度など他のテーマも一筋縄では解決できないものばかりだ。

 「実行会議は大所高所から議論するのが役割。ここで全てを決めるわけではない」と鎌田座長は語る。総花的な内容の提言では教育改革の「実行」はおぼつかない。拙速に陥らず、中身のある議論が求められる。

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