災害看護で初の共同大学院設置…国公私立5校『読売新聞』2013年1月11日付

『読売新聞』2013年1月11日付

災害看護で初の共同大学院設置…国公私立5校

 兵庫県立大など看護学研究科のある国公私立の5大学院が、災害看護の専門家を養成する初の共同大学院を創設する。

 海外の被災地での救護や被災者ケアの政策立案に携わるなど、国際的にも活躍できる人材を育てるのが狙いで、2014年度の開校を目指す。

 1995年の阪神大震災を機に災害看護教育に取り組む兵庫県立大のほか、高知県立大、東京医科歯科大、日本赤十字看護大、千葉大の各大学院。いずれも災害看護教育で定評がある。5年間の共同教育課程を設け、初年度の定員は10人。学生は各大学院に所属し、看護学に加え、都市工学や環境学、国際福祉、英語などを学び、他大学の特色ある講義はインターネット中継で受講する。災害拠点病院での実習や世界保健機関(WHO)など国際機関での就業体験にも取り組む。

 背景には阪神、東日本大震災の経験を引き継ぎたいとの狙いがある。被災地では看護師が被災者の手当てに加え、避難所や仮設住宅を巡回し健康チェックや生活相談などを担当。さらに行政や医療機関と連携し、中長期的に被災者をケアしていくことが求められてきた。

 2004年のインド洋大津波に遭ったインドネシアなどからは「日本の災害看護を学びたい」との声も寄せられ、5大学院が11年度からカリキュラムを検討。現在、文部科学省への認可申請を準備している。

 兵庫県立大の片田範子・看護学研究科長は「孤独死防止や被災者支援体制づくりなど大震災で学んだことを伝え、一人でも多くの命を救えるリーダーを養成したい」と話している。

災害看護

 看護師の知識やネットワークを生かして、被災者に寄り添い、災害直後の救命看護から健康維持、心のケアまで全般に関わる取り組み。地震などの自然災害や大火災、放射能事故などを想定する。1998年に看護師らでつくる日本災害看護学会、2008年には日、米など7か国が参加する世界災害看護学会が発足した。

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