法科大学院見直し議論 「地方」の意義訴え『中日新聞』静岡版2013年1月15日付

『中日新聞』静岡版2013年1月15日付

法科大学院見直し議論 「地方」の意義訴え

◆20日、県弁護士ら都内シンポ

 法曹養成制度について法科大学院の統廃合を含めた見直しが政府の検討会議で議論される中、静岡県弁護士会の弁護士らが二十日、地方や夜間の大学院の存在意義を考えるシンポジウムを都内で開く。静岡大など全国各地の大学院との共催。シンポの討論内容を検討会議に提出し、本年度末にもまとまる見直し案に地方の声を反映させたい考えだ。

 法科大学院をめぐっては、司法試験合格実績の低迷を背景に、大学院間の格差拡大や志願者数の減少などの課題が浮上。文部科学省は大学院の再編を促すため、入学試験の競争倍率や司法試験合格率が低い大学院に対する交付金や補助金を二〇一二年度から削減している。

 政府が一二年八月に設置した有識者による「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅学習院大教授)は、大学院など法曹養成制度の見直し案を本年度中にまとめた上で、パブリックコメント(意見公募)をする予定。これまでの議論では、地方や夜間の法科大学院に一定の配慮をする必要性を認めつつ、統廃合はやむを得ないとの意見も目立つ。

 シンポを発案した静岡県弁護士会の内山宙(ひろし)弁護士(38)は「地方を離れられない人や仕事を辞められない人など、法曹への多様な人材の確保が司法の底力になる」と強調。自身も仕事を続けつつ夜間の大学院に通った経験から「司法試験の合格実績など数字だけで大学院を統廃合すれば、多様な人材が法曹を目指す機会が失われる」と訴える。

 ただ、法曹関係者の間では法科大学院制度自体の存廃も論点になっている。弁護士有志でつくる「法曹人口問題全国会議」が一二年に全国の弁護士対象に実施したアンケートでは、法科大学院制度について反対が51%と賛成の26%を上回った。

 シンポは「地方で目指す 夜間で学ぶ-法科大学院の成果と展望-」と題し午後零時半から筑波大東京キャンパス文京校舎(文京区大塚)で開催。国際法曹協会会長の川村明弁護士による基調講演などに続き、法科大学院の教員や出身者らが討論する。入場無料。

(赤川肇)

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