NHKニュース配信記事2013年1月11日付
「給付型」奨学金の創設を要望へ
奨学金を受けながら勉強する学生が急増し、厳しい雇用情勢のなかで、就職先が決まらないまま返還を迫られる若者も多いとして、弁護士や当事者などが、現在日本にはない「給付型」の公的な奨学金制度を創設するよう、国に求めていくことになりました。
文部科学省によりますと、国の奨学金制度を利用する大学生と短大生の数は、昨年度初めて100万人を超え、全体の4割近くに上っています。
アメリカやイギリスなどには返す必要がない「給付型」の公的な奨学金制度がありますが、日本にはありません。
このため、就職先が決まらないまま返還を迫られる若者も多いとして、10日夜、都内で、労働問題に詳しい弁護士や奨学金を返還する当事者たちが集会を開きました。
この中で、弁護士は「会社から賃金が支払われず、奨学金の返還が滞ったところ、延滞金を含めて厳しい取り立てにあっている、などの相談が多く寄せられている」と報告しました。
そして、今後、奨学金の返還に悩む当事者の相談にメールなどで対応するホームページを立ち上げるとともに、国に対して、給付型の奨学金制度の創設や返還が滞った際の延滞金の取り消しなどを求めていくことを決めました。
集会を開いた団体の伴幸生さんは、「大学や大学院を卒業する時点で、数百万から1000万円近くの借金を抱える現在の制度を、当事者の声を集めて改善していきたい」と話しています。