駒ケ根市、駒工、東工大の連携事業スタートへ『信濃毎日新聞』2013年1月3日付

『信濃毎日新聞』2013年1月3日付

駒ケ根市、駒工、東工大の連携事業スタートへ

 駒ケ根市と市内の駒ケ根工業高校、東京工業大(東京)が連携し、同市の科学技術力の底上げを図る事業が2013年、動きだす。既に始まっている同校と同大の連携を土台に、市が橋渡し役となって市内企業も巻き込み、共同研究や学会誘致などを推進。新産業創出やものづくりの人材育成につなげる狙いだ。

 同大の研究者や学生を同校や市内企業に招いての共同研究、学会や講演会、ゼミ合宿の誘致、同大の催しで同校や市内企業の情報を発信することなどを構想。同大は「大学で確立した研究成果の社会還元」、同校は「教育の充実による人材育成」、市は「地域産業の活性化」にそれぞれ期待する。

 同校と同大は昨年、共同研究契約を締結。同校電気科の3年生が、同大原子炉工学研究所の林崎規託(のりよす)准教授や大学院生から助言や機材提供を受け、プラズマ(原子を構成する原子核と電子が分離して飛び回る状態)を発生させる実験に成功した。同大が工業高と共同研究契約を結ぶのは2004年の国立大学法人移行後初めて。先駆的な高大連携に市や市内企業も加わり、産学官連携のモデルを目指す。

 当面は、林崎准教授を中心にプラズマの共同研究を継続。がん治療など医療分野への応用も期待されているといい、同准教授は「高校生や地域企業とのつながりを深める中で、どのような連携ができるのかを模索したい」と話す。将来は、研究テーマを他分野にも広げていく考えだ。

 市商工観光課は「地域経済が厳しさを増す中、企業が新分野に目を向けるきっかけになり、新製品開発にもつながればいい」。同校電気科の関悟教諭は「ことしは駒工創立50周年の節目。上伊那唯一の工業高校の魅力をさらに発信し、地域の活力にもなればうれしい」と話している。

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